<オープン戦:ソフトバンク3-2ロッテ>◇21日◇ヤフオクドーム

 WBC日本代表のソフトバンク内川聖一外野手(30)が「再出発」の2安打を放った。チームに合流して「3番左翼」でスタメン出場。第1打席で右前打を放つと、ヤフオクドームに拍手と歓声が響いた。「すごく温かく迎えてくれた。1本出てホッとした。WBCも緊張したが、久しぶりにこのユニホームを着てグラウンドに立つのも緊張した」。4回も右前打。2打席とも、追い込まれてから流し打った。技は健在だった。

 WBC準決勝で痛恨の盗塁死で、世間の注目が一気に集まった。公式ブログには5000件を超えるコメントが寄せられた。ツイッターでは偽物まで出現した。「一流の仲間入りですね」と冗談を飛ばしつつ、「いろんな人が心配とか意見を言ってくれるのはありがたいです。今度は、僕がそれに応えないといけない。忘れちゃいけないけど、前を向いていかないと」。そんな気持ちを、バットに乗せた。

 前主将の小久保裕紀氏の言葉が頭に残っている。昨季のCSファイナルステージ第2戦で、1回2死三塁から日本ハム中田の正面の飛球を落球。敗因に結びつくミスに涙を流した。宿舎に戻ると小久保氏の部屋に呼ばれ、「ミスした直後から切り替えないと。みんなが振る舞いを見ている」と諭された。事実を受け入れて、前に進むことが大事と知った。

 米国から帰国後、あの悪夢についての厳しい質問にも丁寧に答えている。「どれだけ後悔しても、あの時間は戻ってこない。もっともっと成長しないといけないと思う。自分が成長するための課題を与えられた気がする。4年後にもう1回、内川が必要と言われるような選手になりたい」。次回、WBCが開催されれば34歳。忘れられない教訓を糧に、前進あるのみだ。【大池和幸】