<オープン戦:広島1-7阪神>◇21日◇倉敷

 「右の神様」や!!

 右肩痛などで調整が遅れていた阪神新井貴浩内野手(36)が21日、今季初アーチを放った。開幕4番は弟良太で確定したが、代打の切り札になるプランが浮上している。この日は新井兄弟でサイクル安打を“達成”。長距離砲ブラザーズは頼もしいで!

 4点リードの9回、快勝ムードすら忘れさせる「朗報」が舞い込んできた。新井が1死一塁で、この日5度目の打席へ。江草の投げた2球目内角低め直球を逃さない。コンパクトなスイングで振り抜くと、ライナーで左翼席へ。ド迫力の弾道で、豪快にオーバーフェンス。これだ。この打球を待っていた。冷静にダイヤモンドを1周する姿が頼もしかった。

 新井

 良かったですね。自分のスイングができています。1日を大事にして、しっかりやりたい。とにかく実戦勘を取り戻すこと。自然と体で対応してね。いい感じでできているかな。

 前日20日の広島戦(レクザム)で1軍戦に復帰したばかり。この日は「3番指名打者」でフル出場し、6回にも右前に運んでいた。変化球にも目を慣らし、いかに的確にとらえるか。投手との間合いを図りながら、最終打席で最高の結果だ。昨年9月15日巨人戦(東京ドーム)以来の本塁打。4番争いも注目を集め、黒田ヘッドコーチは「まだこれからや。3試合もあるし」と話すが、開幕4番は弟の新井良に託す方針。指揮官も調整重視を強調した。

 和田監督

 打席に立っていけば、あれくらいの打球が打てる選手。まだ打席数をこなしていかないといけない。これから上げていかないといけない。

 さらに起用法について、大事な局面で使うのかと問われて「そういうこともある」と話した。水谷チーフ打撃コーチも代打の切り札の可能性を否定せず、「(4番について)まだないだろう。(実戦を)やり始めたばかり。バットの軌道が変わってきた」と言う。

 4番復帰は時期尚早で、じっくり調整させるスタンスだが、ヤクルトとの開幕戦は左の代打桧山と並ぶ「右の神様」として期待大。昨季の9本塁打のうち神宮で3発。この日は弟良太と2人で「兄弟サイクル安打」も達成。狭い神宮なら、新井の長打力は相手にとって脅威になりそうだ。右肩痛の回復が遅れ、2月には背中も痛めた。出遅れていた主砲が、ようやく本来の姿を見せた。倉敷の空に架けた一撃は、新生猛虎打線の希望になる。【酒井俊作】

 ▼新井は通算で161回代打で起用され、142打数31安打、打率2割1分8厘、8本塁打、20打点。阪神移籍後は08年と12年に計7度起用され、7打数1安打、打率1割4分3厘、1打点、本塁打はない。