<DeNA3-5阪神>◇28日◇横浜
全勝アーチだ、兄弟連打だ。今日は藤浪をみんなで援護したぞ。2回の3点は、阪神福留孝介外野手(36)の先制2ランに新井兄弟連打でもぎ取った。延長戦での勝負強さが目立つ福留が第1打席からのロケットスタート。36歳誕生日を2日遅れで祝う4号で、本塁打試合は3戦全勝だ。
藤浪を援護する強烈な一撃だった。2回、福留が初球をフルスイングした。やや真ん中に入ってきた直球を打ち返すと、打球は虎党の歓声に包まれながら伸びた。バックスクリーン右へ飛び込む4号2ランだ。
「マートンがいいヒットで塁に出たから、進塁打でいいくらいの気持ちだった。先制して、楽に投げさせてやりたかったから」
藤浪登板日では初打点だった。投手と野手の違いはあるが、自身もドラフト1位の超大物新人という看板を背負ってプロ入りした。それだけに藤浪は入団時から気にかけてきた。開幕直前の決起集会、全選手が集まった宴席の中、福留は他の選手たちとともに藤浪に“度胸試し”を仕掛けた。中締めの空気が漂ってくると、こう振った。
「じゃあ、みんなを代表して晋太郎!」
先輩がズラリと並ぶ中での“むちゃぶり”にも、藤浪は堂々とあいさつしたという。
「今年1年頑張って、優勝して、皆さんで優勝旅行いけるようしたいです」
福留も感心する胆力。この日も右翼から頼もしい背中を見つめていた。疲れが見えた6回終了時、1つだけベンチで藤浪にアドバイスを送った。
「後ろから見ていて、だるそう、重そうだったから。それの取り方だったりをね。ただ、悪ければ悪いなりに抑える。普通の高卒ルーキーじゃないよね」
プロでの宿命となる長丁場の乗り切り方を伝授したようだ。自身は2日前、36歳の誕生日を迎えた。名古屋から横浜へ移動する朝、長男颯一くんを幼稚園へ送った。直筆手紙をくれた息子は、バースデーソングを歌ってくれた。5歳児が覚えたばかりの歌は、どこが終わりかわからない。だから、車中にいつまでも響いた。
「いつまでたっても歌が終わらないんだよ」
うれしかった。だが、気持ちの張りだけで結果が出る世界でないことは百も承知だ。そこから8打数無安打…。やっと飛び出した2日遅れのバースデー弾もトンネルの出口ではないことを福留は知っている。
1年前は9月上旬にシーズンを終えた。決して表に出さないが、実戦のブランクは想像以上に大きい。だから先を見据えて重いバットを振る。1人、外野でのランニングを続ける。今日は藤浪の日-。試合後はそう言わんばかりに、自身のことは多くを語らなかった。【鈴木忠平】



