<阪神11-3広島>◇4月30日◇甲子園
最高の4月締めくくりや~
待ってました良太弾!
若き大砲の聖地での今季初アーチ。盛り上がらないはずがない。猛虎打線が爆発し、今季最多の11得点。なんてうれしすぎる勝利なんだ!
昨年は5月から負け越し続けたけど、貯金を今季最多3に戻すなど、やっぱり今年は違う予感ムンムン。期待してまっせ!
阪神新井良太内野手(29)は走る速度を緩めなかった。当然だろう。敵は難攻不落の甲子園右中間最深部なのだから。
「風は吹いていなかったけど。まさか入るとは思わなかったので」
予想を覆し、打球はグングン伸び、118メートルある右中間フェンスを飛び越えた。確かに右翼から左翼への浜風はやんでいたが…。甲子園は大歓声より先に、どよめいた。
前日は守備の乱れから9回に逆転負け。嫌な流れを食い止めたかった。2回1死一塁、広島篠田の内寄り低め133キロツーシームをミート。先制2号2ラン。一撃で主導権をたぐり寄せるとナインも呼応。今季チーム最多11得点の爆勝だ。昨年は5月からチームは急激に失速。だが、今年はきっと違う、と誰もが期待を膨らませる猛攻だった。
練習中のフリー打撃では最後の1球をおかわりし、右方向へ。「練習でやっていることができて良かった」。1発後のベンチ前では、両手を流すお決まりのポーズに1人乗り遅れた。「後でナリ(今成)と小さくやったんでOKです」と照れ笑いも輝いた。
「足の不安とかは1軍に上がってきた時からない。試合に出れば、ないです」
4月上旬に痛めた左太もも裏肉離れが完治しないまま、試合に出続けてきた。「俺は出られない苦しみをよく知っているから」。昨季は110試合に出場したが、11年までのシーズン最多出場は中日時代の10年45試合。野球ができる喜びは人一倍、知っている。
中日入団3年目を終えた08年10月、ドミニカ共和国のウインターリーグに参加。自身はドミニカ3Aクラスの試合に出場する身ながら、現地の5つ星ホテルに宿泊。通訳もつき、移動手段はタクシー。何不自由ない生活を約2カ月間過ごした。そんなある日、つらい現実を目の当たりにした。
道を歩いていると、小さな子供が近づいてきた。片足がない男の子だった。身ぶり手ぶりで何かを必死で訴えている。「車の窓を拭くから、お金をくれ!」。意味が分かった時、自分の境遇をもう1度見つめ直した。
「自分がいかに幸せなのかを考えさせられたよ」
前日は“危険球”に遭った。6回2死。4球目の直前にタイムをかけたが、バリントンはそのまま投球。胸元をえぐる1球だったが、本人には遺恨のかけらもない。「全然、(お返しとか)そういう美談じゃないですよ」と冷静に否定。グラウンドに立てる喜びをかみしめ、普段通り全力プレーした結果の1発だ。
「これからもまた、ファンの方を沸かせられるように、ホームランを打てるように頑張ります」
左足は完治に近づいている。毎日試合に出続けるため-。今季初のお立ち台を下りた直後、表情を一瞬で引き締めた。【佐井陽介】
▼阪神は今季、甲子園でのナイター6試合で5勝1分け。4月9日巨人戦から12日DeNA戦まで4戦連続無失点など投手陣が踏ん張り、6試合でのチーム防御率は0・60。今季通算2・70をはるかにしのぐ。



