連勝のバトンは確かにもらった。日本ハム大谷翔平投手(18)が今日23日、いよいよ1軍のマウンドに立つ。本拠地札幌ドームのヤクルト戦で、高卒新人ではプロ16人目となる初先発初勝利を狙う。チームは吉川が8回散発2安打無失点と好投し、ベテラン稲葉の満塁本塁打などでヤクルトに6-1で快勝。「投手大谷」のデビュー戦へ3連勝で勢いをつけた。

 大谷は大一番を前にしても肝っ玉が据わっていた。1軍投手デビューとなる今日23日のヤクルト戦(札幌ドーム)を前に、22日の試合前に24球の最終調整。「開幕戦のときも緊張はしませんでした。いつも通りやれればいい。0でいってリズムをつくりながら、攻撃につなげられればいいです」。そして不敵に、ニヤリ。「(初球は)今までやってきて、自分の一番自信のある球でいきたいです」。暗に直球勝負を宣言し、7回裏までロッカー室で見届け、ひとりで帰路に就いた。

 打者としてなかなか貢献できずにいる、ジレンマをぶつける。野手としては15試合に出場し、打率3割8厘、3打点と奮闘しているものの、出場試合のチーム成績は2勝13敗となぜか巡り合わせがよくない。「(チームは)連勝したし、自分もつなげられればいいです」。今季最長タイとなる4連勝へ向け、白星にこだわる。

 この日は「投手・大谷」に専念。打撃練習も行わず、試合中はベンチ入りもせずに、裏でヤクルト打線の状態をチェックした。ブルペンでの調整でも投げたカーブ、スライダー、チェンジアップと高速ストレートを駆使し、ねじ伏せるイメージを膨らませた。「クリーンアップは長打力がある。畠山さんは同じ岩手(出身)なので、楽しみだなと思います。いい投手の打席に立たせてもらったり、レベルの高い中でやらせてもらったので、生かしていければいいです」。二刀流という、自分にしかない特徴を、最大限に生かすつもりだ。

 既にバットで存在感を示している大谷だが、二刀流ルーキーとしての“門出”を迎える。高卒新人の初先発初勝利は球界に過去15人。だがもちろん、その中に打者で既にデビューしていた選手はいない。栗山監督は「自由にやらせてあげたい。好きにやればいいし、若者らしく躍動してくれればいい。最初の登板を、思い出に残るように、持っているものを出し尽くしてほしい」。大注目の二刀流ルーキーに、勝負を預けた。【本間翼】

 ◆高卒新人の初登板初勝利

 ドラフト制後、昨年7月7日の日本ハム戦(札幌ドーム)で勝利したソフトバンク武田翔太で17人目(うち救援は2人)。日本ハムでは66年森安敏明、84年津野浩(救援)、97年矢野諭、05年ダルビッシュ有、10年中村勝の5人が白星を飾っており、球団別では最も多い。