<阪神7-1日本ハム>◇26日◇甲子園

 日本ハム中田翔内野手(24)も、念願のガチンコ対決を堪能した。大阪桐蔭の後輩、阪神藤浪と初対戦で猛ハッスル。2回に149キロの剛球を打ち砕く、豪快な左中間二塁打を放った。残り2打席の対戦ではともに三ゴロに倒れたが、先輩の威厳を強烈に示す一振り。将来性を絶賛する後輩への名刺代わりの一振りで、注目された大谷VS藤浪の一戦で存在感を見せ、花を添えた。

 最高の大舞台で、もう1つの夢の対決が実現した。2回の第1打席。熱狂的な阪神ファンの声援が、少し止んだ。この日初めて打席に立った中田は、目の前に立つ藤浪をじっと見つめた。ともに名門・大阪桐蔭出身。甲子園にも出場経験がある2人が、プロになって初めて聖地で対峙(たいじ)した。

 初球は、プロ入り最速153キロの直球。「初めてだったから球筋がわからなかったので、速い球をとりあえず待とうと思っていた」。狙い通り見逃し、2ボールで迎えた3球目。149キロの直球を捉えた打球は、青々と輝く左中間の芝に鋭く転がっていく二塁打。さわやかな風が吹く球場の二塁ベース上とマウンドの距離で、後輩と見つめ合い笑った。

 プロ入りから6年目も、後輩愛にあふれている。今年のセンバツ大会出場を決めた母校へ、おとこ気満点の差し入れをした。金色の刺しゅうで「己」の一文字が入った特製のウインドブレーカーだ。同校関係者は「総額100万円以上はすると思う。ただ、高校球児がなかなかこれを着るのは勇気が入りますね…」と、インパクト大の贈り物に仰天気味。後輩へ、自身のように「己」を貫いてほしいと熱いメッセージを送っていた。

 前日25日は真剣勝負を予告していた。あいさつに来た後輩右腕の尻をたたき激励したが「グラウンドに立ったら先輩も後輩も関係ない。投手の1人として勝負するだけ」と、私情は内にしまった。初対決の結果は3打数1安打。「良い感じにボールが動いていて、打ちにくいボールを放っていた」と、実力を素直に認めたが、同時に先輩としての意地も見せた。聖地の熱気にも負けない、後輩へ向けた心意気が詰まった一振りだった。【田中彩友美】