<広島1-8日本ハム>◇29日◇マツダスタジアム

 試合の主導権をグッと引き寄せるアーチが、故郷広島の夜空に吸い込まれていった。1回、日本ハム中田翔内野手(24)が、単独トップに躍り出る先制の13号3ラン。外寄りのスライダーを左翼席まで軽々運んだ。「チームも勝てたし、友達や親戚に野球を楽しんでいる姿や一生懸命やっている姿を見せられた。最高の形」とドヤ顔でベンチへ戻った。

 “オカン”の前では、めっぽう強い。11年6月18日の広島戦(マツダ)では、2打席連続アーチを含む5打数4安打5打点と大暴れ。当時の梨田前監督が「毎試合、オカンに来てもらわんと」と感嘆したほど。この日も、三塁側ベンチ後方では母香織さん(49)ら親戚や知人が声援を送っていた。広島遠征中、実家に顔を出した息子に手料理を振る舞った香織さんは「広島へ帰ってくると、すごく元気になるんです。みんなに頑張っている姿を見せたいんでしょうね」と、勝負強さの一端を明かした。