<広島1-8日本ハム>◇29日◇マツダスタジアム

 広島広瀬純外野手(34)が、意地の1発を放った。1回2死走者なしから、吉川の151キロ直球を左中間に運ぶ3号ソロ。この1発が20日ロッテ戦(QVCマリン)以来、15打席ぶりの安打。チーム唯一のマルチ安打で孤軍奮闘した。チームは完敗の中で、広瀬が復活の兆しを見せた。

 力対力の勝負を広瀬が制した。3点を先制された直後の1回2死無走者。日本ハム吉川に1ボール2ストライクと追い込まれながら、内角151キロの直球に体が反応した。真芯で捉えながら「(スタンドに)入るとは思わなかった」という打球は、低空ライナーで左中間スタンド最前列へ突き刺さった。表情を変えずにダイヤモンドを一周したが、ベンチ前ではお決まりの敬礼ポーズを披露した。

 「うまく反応してくれた。伸びてくれてよかった」

 長いトンネルから抜け出す1発になった。安打自体が、20日ロッテ戦以来15打席ぶりだった。安打から見放された8日間の中で、22日西武戦(西武ドーム)ではスタメン落ちする屈辱も味わった。連続打席出塁記録の日本記録を樹立するなど、好調を続けていた男にとっては長すぎるスランプだった。

 迷いが消えると、打線が沈黙する中で孤軍奮闘した。6回1死無走者の3打席目には、吉川の初球スライダーを詰まりながら右前打とし、唯一のマルチ安打をマーク。この積極性こそが、好投手を打ち崩す秘訣(ひけつ)だ。

 「球も速くて、変化球のキレがよくて、なかなか甘い球が来ない。思い切って勇気を出して、ファーストストライクを振りに行けた結果」

 チームは散発の4安打で、得点は広瀬のソロ本塁打の1点のみ。好調の大竹も打ち込まれ、野村監督も「今日は割り切るしかない」と完敗を認めた。だが、この負けを引きずるわけにはいかない。広瀬はロッカーの裏に引き揚げる際に、自分に、そしてチームに必要なことを言い残した。

 「同じようにやられている。積極的に行くことが大事」

 見本を見せた頼れるベテランの闘志に、再び火が付いた。【鎌田真一郎】