<日本ハム7-1DeNA>◇3日◇旭川
暗闇に、白球が吸い込まれていった。日本ハム・ミチェル・アブレイユ内野手(34)がフルスイングした瞬間、バットを放り投げた。1回にソロを放ち、アドレナリン満点の4回だ。2死一塁の一振りに旭川のファンが熱狂した。右中間は旭山動物園の方向で、中堅方面は名峰・大雪山がそびえる。そんな絶景が見えず、趣が変わった旭川のナイター開催の初カード。アブちゃんが、左中間の真っ暗な夜空に花を添える軌跡を刻む。両翼95メートルの左翼席から飛び出した。並走していた中田を抜き、キング独走特大130メートルの15号場外弾。「アリガトウ。気持ち良かった」と酔いしれた。
深い悩みから解放された。開幕から進撃して4月終了時には打率3割、9本塁打。5月に失速したが、一番の要因は異国のギャップ。昨季まで2年間のメキシカン・リーグ時代にはなかった疲労度を感じたという。経験がなかったデーゲーム。北海道に拠点を置く球団ならではの飛行機移動のハードさもこたえた。ハングリーできまじめだが、周囲には「疲れている」と思わず漏らした。毎シーズン5月は不調に陥るジンクスがあるが、今季は顕著だった。
幸運なリフレッシュ期間も、再充電した。成績項目の中で強いこだわりを持つ打率は2割5分台まで下降した。「何とか3割は打ちたい」という大目標に、心が折れそうにもなった。5月26日夜から4泊5日の広島遠征。1試合が降雨で中止になり、同29日の同戦も欠場。思わぬ静養期間になった。今回の旭川遠征でも疲労回復に努め、大爆発の一戦にした。
前夜の大敗で意気消沈していた栗山監督も、腹の底から喜んだ。「場外ホームランを見てもらえて良かった」。旭川のファンも、熱血指揮官も…。心優しいアブちゃんに、みんな救われた。【高山通史】



