<ヤクルト11-9広島>◇12日◇神宮

 満面の笑みとはいかなかった。約1カ月ぶりに最下位を脱出したヤクルト小川淳司監督(55)だが、先発中沢が4回途中KOで、終わってみれば乱打戦。「苦しい戦いだな、本当に」と苦笑した。

 それでも内容はこれまでと違った。初回に2失点。逆転して最大6点差をつけたが、じわじわと詰められた。小川監督が「序盤に得点すると投手が踏ん張りきれなくて逆転されることがあった。今日もそういう展開だった」と言うように、最悪の事態もよぎった。

 だが打線が取られたら取り返した。初回、左足首手術から復帰した川端が「同点と勝ち越しは全然違う。走者をかえそうと思っていた」と今季初適時打となる決勝2点適時三塁打。8回には左アキレスけん痛が心配されたバレンティンが29号ソロと、攻撃の手を緩めなかった。指揮官は「集中力。打席に入ったら戦いだから」と気迫を見いだした。

 この日は「生ビール半額ナイター」で2万8291人が駆け付けた。ビールに不可欠とされる「のどごし」「キレ」「コク」に加え、「5月29日以来の2ケタ得点で最下位脱出」といううまみも加えた。小川監督は「そんなレベルじゃない。明日負ければ同じですから」と冷静だったが、引き揚げる際には右翼席から「小川監督ありがとう!」の声援が起きた。集中打で競り勝った姿に、神宮のファンは久々に気分良く酔いしれていた。【浜本卓也】