<ソフトバンク3-2オリックス>◇14日◇ヤフオクドーム
嫌な流れを今宮のバットが断ち切った。同点に追いつかれた直後の9回裏。2死一、二塁からソフトバンク今宮健太内野手(22)が右前へ、人生初となるサヨナラ打を放った。チーム今季3度目のサヨナラ勝ちで連敗は3でストップ。1日で最下位から脱出だ。今日から球宴前の最終カードとなるロッテ3連戦(QVCマリン)。この流れに乗って借金1を返済してみせる。
初球を仕留めた。オリックス守護神平野佳の150キロの直球をはじき返すと、鋭い打球は二塁手の横を破った。二塁走者の本多の生還を見届けると、一塁を回っていた今宮は両手を上げて高く飛び上がった。
あっという間に歓喜の輪ができ、その中心で今宮は手荒い祝福を受けた。「人生で初めてのサヨナラ打です。内川さんが猪のように走って来ましたね。たまらんかったですね」。21歳最後の日に、最高の初体験。無欲が歓喜の瞬間を呼んだ。「単打で内川さんまでつなげば」と、コンパクトなスイングを心がけた。平野佳の剛球に負けないために、バットも指1本分短く持ち、殊勲打につなげた。
5月8日以来の2番に起用された。昨年からノーヒットノーランを含む5連敗中のオリックス西対策だった。昨季から15打数0安打とオリックス先発の西を苦手とする本多が8番に下げられた。「何のために2番に入ったのか考えた。今日は積極的に行けたのがよかった」。6回には西から中前打を放ち、試合をひっくり返す2点につなげた。秋山監督も「粘り強くなっている」と目を細める。
イメージカラーはオレンジだ。「(理由は)分かんないけど好きですね」。バット、手袋や肘当てなどの野球用具はもちろん、遠征用のバッグも。サラダにかけるドレッシングもオレンジだ。そんな今宮がこの日は「形は一緒ですが今日は黒で」と気分転換で黒いバットを使用した。最近890グラムから880グラムに変更した軽めのバットが幸運を呼んだ。
打つだけではなかった。5回2死二塁での守備。俊足の坂口が三遊間に放った打球を足から滑りながらキャッチし、起き上がりながらワンバウンド送球で刺した。抜けていれば追加点を奪われる場面。チームを、好投していた帆足を救う美技だった。鳥越内野守備走塁コーチは「今月に入って一皮むけてきた。送球のラインを外さなくなってきた」と確実性が高まったと評価する。
お立ち台では「明日(15日)も誕生日なので、明日も活躍したいです」と連日の活躍を約束。「ずっと負けていますが、目標は1位。これをきっかけにしたい」。首位楽天とは6差。今宮が若さでチームを引っ張り、混パをひっくり返す。【石橋隆雄】
◆今宮健太(いまみや・けんた)1991年(平3)7月15日、大分県別府市生まれ。「大平山少年野球部」で軟式野球を始め、明豊中では軟式野球部に所属し全国大会に出場。明豊では1年春の九州大会からベンチ入り。2、3年と連続センバツ出場。3年夏の大分県大会では3打席連続本塁打を放ち、甲子園8強に導いた。高校通算62本塁打。09年ドラフト1位でソフトバンクに入団。最速154キロの投手ではなく、強肩と抜群の身体能力を生かした遊撃手として3年目の昨年から1軍定着。今季年俸は2200万円(金額は推定)。172センチ、68キロ。右投げ右打ち。



