<阪神8-4DeNA>◇14日◇甲子園
あんなに遠かったホームをドカドカ踏んだぞ。良太と亮太が大暴れで、ゼロ行進は21イニングでストップだ。6回に打者11人攻撃で、阪神は今季最多の7点を刻み込んだ。とどめは新井良太内野手(29)の復活満塁弾!
負傷した西岡に代わる途中出場の良太が13試合ぶりのアーチで、ベンチ、スタンドが一体となった決めポーズ!
この勢いで、さあ来い、巨人の強力投手陣!
良太は飛び跳ねるように、顔をくしゃくしゃにしてホームベースを踏んだ。今季2本目の満塁弾。ひと振りで藤浪の6勝目を決定づけ、やっと心から笑えた。
「何が起こったのか、よく分かりません。無我夢中でした。久しぶりだったし、結構頭が真っ白になって。かみしめる感じではなかったですね」
負傷交代した西岡に代わり、途中出場で1番に入った。2点リードした直後の6回2死満塁、左腕大原の内角136キロ直球に右手を離し、巧みに払った。打球は楽々左翼フェンスをオーバー。13試合ぶりの1発となる8号満塁弾。25打席ぶりの安打が劇的弾に変わり、興奮を隠さなかった。
「ここ最近まったく芯にも当たらず、ヒットも打てていなかったので」
24打席連続無安打。ここ6試合のうち5試合で坂に三塁スタメンの座を奪われていた。「オレは落ち込んだりせんよ」。公の場では努めて元気に振る舞ったが兄貴浩の前では思わず本音もこぼれた。沖縄遠征中、那覇市内でともに焼き肉をほおばりながら「明日もスタメンじゃないんやろな…」とポツリ。すぐさま、兄から諭された。「お前はただ、がむしゃらにやればいいんよ!」。もちろん分かっていた。がむしゃらに。あらためて心に刻み、一心不乱にバットを振った結果、最高のプレゼントが用意されていた。
前回1発を放ったのは6月25日、富山での中日戦。その前夜、良太は多忙の合間を縫って、駒大野球部時代の同級生と顔を合わせた。富山・高岡向陵高出身の大切な仲間に向け、アーチを予告していた。「明日ホームランを打つけえ、見に来いよ」。翌日、試合終盤に球場を訪れた友人が「良太、打てえ!」と叫ぶ姿を見つけた。直後の9回に宣言通りの決勝弾だ。そして、今回はスランプ脱出を満塁弾で決めてしまう。やはり不思議な力を持つ男だ。
8回1死二塁では右腕長田から空振り三振。「次の打席、ああいうところで打たないと。ホームランを打てた事実は良かったけど、まだまだ。この1本で迷惑をかけた分のプラスマイナスがゼロにはならない」
今日から1・5ゲーム差に迫った首位巨人との3連戦。「明日から巨人戦なので、身を粉にして働きたい」。勝負の3日間。燃えに燃える良太の神通力に懸けてみたくなる。【佐井陽介】



