<日本ハム14-3西武>◇15日◇札幌ドーム

 日本ハムが「大谷効果」の猛打ショーで連勝し、勝率5割へ復帰した。西武投手陣から今季最多の14得点。前日14日ロッテ戦で代打本塁打を放った大谷に代わり、途中交代していた陽岱鋼外野手(26)が奮起。先頭打者本塁打を含むプロ入り初の2打席連発と爆発した。今季初の先発全員安打、最多タイ18安打の乱れ打ちを、けん引。「右頬骨(きょうこつ)不全骨折」した大谷が先発登板を回避して危機感十分だった一戦を、リードオフマン中心に一丸でド派手に飾った。

 グッとこみあげてくるものがあった。栗山監督は三塁側ベンチ前へ飛び出し、がっちりと腕組みをした。目に焼き付けるように、軽やかにダイヤモンドを1周する姿に見入った。1回裏。ふと見上げると、猛打ショーの号砲が打ち上がっていた。陽岱鋼が左翼席中段へと突き刺す先頭打者本塁打。6試合、25打席連続無安打とスランプだったイケメン切り込み隊長が、トンネルを抜けた。お立ち台でも「サンキューで~す!」の決めゼリフが復活した。

 苦肉の策が一夜明け効いた。14日ロッテ戦の7回1死二塁。陽岱鋼をベンチへ下げ、大谷のミラクルな代打アーチの伏線になっていた。不振の要因の1つになっていたのが、栗山監督が「体の張り」とだけ説明する異常。試合後に陽岱鋼は選手で一番乗りで球場を離れたが、その足で向かっていたのが札幌市内の病院だった。右膝に違和感が生じたもよう。精密検査を受けていた。プレーに支障がないことから、この日は強行にスタメンへと名前を連ね、いきなり快音を響かせた。

 アクシデントとはいえ、秘めた思いはあっただろう。責任感の強い陽岱鋼が代打で途中交代するのは11年5月以来、2年ぶり。結果的に会心の活躍はしたが、かわいい後輩の大谷に持ち場を預けてしまった。少しの悔いを抱えて臨んでいた一戦。栗山監督が「ダイカンとか(中田)翔に何もなければ代打を出すことはない」という緊急事態だったが、結果的にハートを揺さぶられた采配に応えた。2回にはプロ入り初となる2打席連続の3ランをバックスクリーンへたたき込み、大勝への流れを確実にした。

 今季最多14点、先発全員安打の一丸での白星で借金を完済した。「チームとして勝ててよかった」と攻守に渋い働きをした大谷も含め、ピンチをエネルギーに変えている。熱血指揮官の狙いに、兵は躍っている。陽岱鋼は「いろいろあって…」と多くを明かさなかったが、名誉挽回の不屈の精神が一戦に宿り、みんなに伝わった。明日17日の西武戦(函館)が前半戦最終戦。栗山監督の激情がシンクロしつつある日本ハムが、混戦パ・リーグを駆け上がる。【高山通史】