<オリックス1-4楽天>◇16日◇京セラドーム大阪
点は取られても、勝った。楽天田中将大投手(24)がオリックス打線を5安打1失点に抑え、今季4度目の完投勝利を飾った。3回に安達に先制打を許し、連続イニング無失点は42回で止まったが、開幕から13連勝で、昨季からは17連勝。ダルビッシュの46回連続無失点には及ばなかったものの、岩隈が近鉄時代に記録した開幕12連勝を超えた。不敗エースに導かれ、チームの貯金は球団史上最多タイの13。首位楽天の勢いが止まらない。
43イニングぶりに失点しても、田中は明るかった。1点を失った3回を終えマウンドを降りると、ベンチでペットボトルの水を一飲み。笑みもこぼれた。「点を取られる時は、あんなもんでしょう」と、さばさばと振り返った。
不運ではあった。3回1死三塁で、オリックス安達に初球ツーシームを中前打された。詰まらせたが、前進守備の二塁と遊撃の間を抜かれた。先頭駿太の右翼線二塁打は、打球が一塁ベースに当たって銀次が逆を突かれたもの。田中は「アンラッキーな二塁打に、ポテンヒット。守備にも助けられてきた。ああいう感じで点を取られて、良い意味で切り替えやすかった」と、尾を引かなかった。
だから、打線の援護もすぐもらえたのかも知れない。5回に逆転。6回、8回には追加点をもらい「すぐに逆転してくれて。あとは俺がいくんだと、さらに気持ちが入りました」とエンジンがかかった。9回を投げきり、13勝目を手にした。
記録にだけ注目したら、超えられなかった人と超えた人、2人の先輩がいる。連続無失点イニングは42でストップ。尊敬するダルビッシュに届かなかった。「みなさんのご期待に応えられなかった」と言ったのは、ご愛嬌(あいきょう)だ。一方で、もう1人の先輩は超えた。開幕13連勝で岩隈を上回った。
その岩隈の存在から“エースの役割”を学んだ。07年の入団時、楽天には岩隈という絶対エースがいた。だが、田中は「岩隈さんがいても、自分がエースだと思って投げていた」という。転機は11年オフ。岩隈が渡米した。12年、田中は初めて開幕投手を務めた。すると「他球団の自分を見る目が変わりました」。その年は故障離脱もあったが、勝ち星が前年の19勝から10勝に激減。徹底マークされても、チームを勝利に導くエースの責任を痛感した。そのことが、今季の躍進につながっている。
常々「記録のためには投げていない」と公言する。エースとして、チームの勝利のためという軸はぶれない。ただ、13連勝で、チームの貯金も球団史上最多タイの13に達した。CSに初進出した09年以来だ。「僕の貯金ぐらいじゃ。まだまだ増やさないと」と力強く言ったが、勢いに乗って前半戦の終わりが見えた。優勝という問い掛けには「今、意識しても。先は長い。でも、これ(首位)以上の位置はない。この位置にいるのは言うことはない」と答えた。記録のための連勝ではない。すべては初優勝へ。最高の秋を目指す。【古川真弥】



