<オールスターゲーム:全パ1-1全セ>◇第1戦◇19日◇札幌ドーム

 巨人沢村拓一投手(25)がMVPを獲得した。両チーム最長の3イニングを2安打無失点と好投。巨人の投手では84年の江川以来となる球団史上2人目の“主役”を演じた。最速152キロの直球主体の力勝負で全パ打線を圧倒。普段の先発ではなく2番手での“ロングリリーフ”に「いつもは1球目から全力で投げることはないので、イニングが進むにつれてしんどかった」と、苦笑いを浮かべた。

 東京ドームでの交流戦で看板直撃の特大弾を浴びている日本ハム陽岱鋼には2打席連続三振に仕留め、借りを返した。「看板まで持っていかれて完敗だったので、今日は対戦できて楽しかったです」と満足そうに話した。新人だった11年以来2年ぶり2度目の出場。試合前は同学年の楽天田中、広島前田健ら他球団の選手と談笑し「手応えうんぬんよりも1年目より周りが見えていたし、楽しめたと思います」と、自身の成長も実感した。

 日本ハム大谷に注目が集まる中、セ界の剛腕がきっちりと存在感を発揮した。「大谷くんもすごいスピードボールを投げていた。素晴らしい選手と試合をできて良かったです」。北の大地で賞金300万円のお土産までゲットした。【為田聡史】

 ▼沢村が3回を投げ無失点でMVP。投手のMVPは昨年第2戦前田健(広島)以来で、巨人の投手では84年第3戦江川以来、29年ぶり2人目だ。これまで投手のMVPはほとんどが勝利投手。白星を挙げずにMVPに選ばれた投手は、80年第3戦で1回を投げセーブを記録した江夏(広島)に次いで2人目と珍しい(2試合通じたMVPの56年金田は除く)。