<オールスターゲーム:全パ1-1全セ>◇第1戦◇19日◇札幌ドーム

 球宴の抑え部門では史上最高齢、38歳の中日岩瀬仁紀投手が貫禄の3人斬りだ。同点の8回から登板し強力打線をピシャリ。松田を一ゴロに仕留めたナックルが大きな収穫だ。「接戦が多くて交流戦の終わり以降はなかなか使えなかった。投球の幅を出す意味でも今日は試したかった。これで後半、いいスタートが切れそうです」。札幌ドームに会心の笑顔がはじけた。

 進退の懸かった今季。2月のキャンプで入団1年目以来の99年以来封印してきたナックルを解禁した。確実な勝負球と確信するには至っていなかった。一流がそろう球宴こそ、精度をはかる絶好の舞台。昨年の球宴は左肘痛で1試合も投げられなかった「悔しい思い」も晴らし、後半戦へ最高の武器を手に入れた。

 試合前には自身の半分の年齢の19歳、阪神藤浪に刺激をもらった。DeNA三浦と3人でキャッチボール。岩瀬は得意のスライダーを投げ、キレ味にびっくりさせた。ところが藤浪のストレートには手がしびれ、イテテテとグラブを外して苦笑いだ。「球が強い。やっぱりすごく若いですね」。対戦を熱望していたもう1人のビックルーキー大谷との対戦は実現しなかったが、若い力との交流で新たなパワーを授かった。

 「去年はあまり後半戦がよくなかったので、今年はしっかりやっていきたい」。チームは前半ラスト6試合を5勝1敗で乗り切り、逆襲態勢を整えた。守護神も新たな決め球を加えてビルドアップ。守道竜の視界はますます良好だ。【松井清員】