<オールスターゲーム:全セ3-1全パ>◇第2戦◇20日◇神宮
お祭り男って、知ってた?
5年ぶり出場の球宴で、阪神新井貴浩内野手(36)が最優秀選手賞をかっさらった。V打を含む3安打の乱れ打ちで、阪神では06年藤本以来のMVP。頼れる男っぷりを発揮し、賞金300万円を獲得したが…。そこに忍び寄る、黒幕西岡の陰。新人藤浪にパフォーマンスを命じた仕掛け人は、新井が賞金をチームの決起集会に使うと勝手に決めてしまった。
「新井さ~ん!」と大歓声のシャワーを浴びながら、一塁内野席沿いの「レッドカーペット」を歩いた。さすがに白い歯もこぼれる。「知ってた?
オレが実はお祭り男だって」。おどけて喜びを表現し、高々と帽子を夜空に掲げた。
「球宴は久しぶりだけど、本当に独特。真剣勝負しているのに楽しい。こういう雰囲気は好き。超満員の中、楽しかったです」
5年ぶり5度目の球宴。第2戦は助っ人クリーンアップに続く6番で先発し、フル出場で猛打賞だ。1点を追う2回無死一塁、西武牧田のスライダーを強振し、中堅左にライナー。送球間に二塁進塁して無死二、三塁とし、7番宮本の同点打を呼んだ。同点の3回2死一、二塁では牧田からセンター返し。痛烈なゴロで二遊間を抜き、決勝打となった。7回にもオリックス佐藤達の快速球を弾丸ライナーで中前打。誰もが納得する形でMVPに輝いた。
久々の球宴出場が決まった直後、懐かしそうに心のアルバムをめくった。「もしかしたらオレかもって、ちょっと期待してな(笑い)。結局は的山さんだったよ…」。まだ25歳だった広島時代の02年、初めてお祭り舞台に立った。松山の一戦では初アーチを含む4打数3安打1打点。センターからホームに逆風が吹き荒れる中、日本ハム隼人からこの日唯一の1発を記録した。優秀選手賞、新人賞をかっさらったが、チームが敗戦したこともあり、MVPは伏兵の近鉄的山。あれから11年後、ついにMVP男という称号を手にした。
日本プロ野球選手会の会長時代、11年は東日本大震災からの開幕延期問題、その後もWBC参加問題などに全力で奔走。練習中には観客席から「新井会長!」と声をかけられ「もう会長じゃないよ!」と照れ笑い。ヒーローインタビューに立つと、大声援が降り注いだ。率直な人柄がファンを魅了し、野球の神様も味方する。これで球宴通算成績は17打数9安打の2本塁打、3打点。打率5割2分9厘は驚異的だ。
裕美子夫人と愛息2人も観戦する中、文句なしの大活躍で賞金300万円をゲット。西岡から「決起集会で阪神の全員を焼き肉に連れていくと言っていた」と“口撃”されたことは知らず、「奥さんに渡します」とニヤリ。新井劇場は笑顔、笑顔のまま幕を閉じた。【佐井陽介】



