<巨人8-4広島>◇24日◇東京ドーム
巨人長野久義外野手(28)が、反攻の一打で後半戦の開幕勝利に導いた。1点を追う2回に12号3ランで逆転に成功。長野の1発で点火した打線は坂本の10号ソロ、高橋由の2号ソロ、阿部の24号2ランと豪華絢爛(けんらん)な計4発の打ち上げ花火で8得点を挙げて快勝した。前半戦は打率2割5分9厘と苦しんだヒットマン長野が、力強く本来の姿を取り戻し、両リーグで50勝に一番乗りした。
流し打ちとは思えない、力感あふれる打球が右翼席に飛び込んだ。打球の主は長野だった。2回1死一、二塁。制球を乱した広島バリントンからカウント3ボールに持ち込んだ。「いい投手なのでなかなか打てない。(好機は)3ボールしかない」。一方で別の考えが頭をよぎった。「ゲッツーも考えた」。迷う長野の背中をベンチが押した。「打て」のサイン。吹っ切れて外角直球を狙った一撃は12号3ランとなって、最高の結果となった。
今季は3ボール0ストライクから5度中2度の凡退(他は3四球)と1度も成功していなかった。4月9日の阪神戦では8回2死一、二塁で能見に仕掛けたが一飛に倒れた。失敗を教訓に「打っていい場面はいいし、打ってダメな場面もある。状況を考えてやる」と冷静に、3年連続で3ボールからの1発を刻んだ。
11年の首位打者、12年の最多安打のタイトルホルダーが前半戦は打率2割5分9厘。月間打率は、常に2割台に甘んじたが、7月に入り、3割を超えた。原監督からは「グリップに指をかけずに打て」と助言を受けた。指1本分、短く持ち、グリップをしっかり握り、強く振る。長野はグリップエンドに白いテープをひと巻きして「忘れてしまうので」と意識付けした。だが球宴明けのこの日はテープは巻かれていなかった。もう体に染み付いていた。
感覚的な試行錯誤も続けた。球宴前の中日戦では好調な中井のバットを借りた。「借りていないですよ~」と、とぼけたが、球宴中はDeNA中村のバットをもらい、この日の練習でも試した。何かをつかもうと必死だった。
前半戦、原監督は長野の復調を信じ、辛抱した。定位置の1番から4、9番以外の打順に配置転換。「技術がないなら技術以外のところで打つ策を練って欲しい」と苦言も呈した。雨天中止となった3日の阪神戦は今季初めてスタメン落ちを決めていた。奮起を促したのも打線の枢軸だからこそ。後半戦、最高の滑り出しをした長野を「3ボールから思い切りの良さが出た。素晴らしいホームラン。上昇気配を見せていたけど、いい形でスタートが切れた」と認めた。
長野も復調を自覚した。「ここからは厳しい戦いが続くと思う。これで乗っていければ」。本来の姿が帰ってきた。後半戦の巨人はもっと強くなる。【広重竜太郎】



