<巨人0-7阪神>◇4日◇東京ドーム

 みろ、このど執念!

 快勝G倒の幕開けは、阪神5番新井貴浩内野手(36)の先制打だった。1回2死一、三塁。巨人菅野の外角スライダーに食らいつき、バットの先ながら強引にセカンド後方まで飛ばす一打で、チーム3戦連続の先取点を挙げた。9回には犠飛でとどめの7点目。2打点を加えた通算1019打点は、ミスタータイガース掛布雅之氏に並ぶメモリアルだった。

 熱い魂が打球に乗り移った。1回2死一、三塁、2ボール2ストライク。新井貴は外角低めに逃げていくスライダーを追いかけた。「食らいついた感じだね」。体ごと両手を伸ばし、強引に振り抜く。右前に上がったハーフライナーは、ダイビングキャッチを試みた二塁中井のグラブをかろうじて越え、外野に転がった。主砲の先制打が巨人菅野にダメージを与え、虎の鼓動を激しくした。

 1勝1敗で迎えた3連戦の3戦目。前夜は競り負け、再び7・5ゲーム差をつけられていた。負ければ巨人にVマジックが点灯する土俵際。追い込まれた時、新井貴の力が頼りになる。

 「いいピッチャーだから、とにかくどんどん振っていかないと」。試合前の時点で5打数2安打3打点と相性のいい菅野から、試合の行方を導く得点をたたき出した。

 「とにかく優勝したい」。偽らざる思いが体を突き動かす。この巨人3連戦中、試合前に円陣の中心で拳を突き上げ、ナインを沸かせるシーンがあった。実は球宴中にDeNAブランコが披露したポーズだ。「やってから、そういえば誰も分かるわけないよな、と思った」と苦笑い。輝かしい実績を誇る36歳が自ら盛り上げ役を担う。そんな姿勢がチームをひとつにする。

 6点リードの9回1死一、三塁で右犠飛を決め、通算1019打点でミスタータイガース掛布氏にも並んだ。「そう聞いたら客観的にすごいなと思うけど…。意識はしていないよ」。個人の記録や数字には目もくれない。今はただ、脇目も振らず逆転Vまで突っ走りたい。「1戦1戦やるしかない。可能性がある限り、食らいついていく」。3連戦に勝ち越したとはいえ、ゲーム差はまだ6・5。厳しい道のりになるのは百も承知。それでも新井貴の視線にブレはない。【佐井陽介】