<オリックス0-1西武>◇11日◇京セラドーム大阪
西武のエースを証明する123球だった。岸孝之投手(28)が、初回に挙げた虎の子の1点を守りきって今季2度目の完封で8勝目。チームでは00年6月30日の日本ハム戦の松坂(現インディアンス)以来となるスミ1での完封劇だった。「すごく疲れました。ずっと緊張しっぱなしだったので」。岸らしく、飾らない言葉で喜びを表現した。
試合後のベンチ裏、「ナイスピッチング」の声とともに、「ありがとう」が交じった。攻守で続出したミスをカバーしたことへの感謝だった。1回は金子の悪送球で無死三塁のピンチ。7回無死一塁では、捕球すれば併殺が取れたライナーを金子が落とした。打線は9回無死一、二塁から3者連続三振。渡辺監督が「やっちゃいけないゲーム。反省点は今年一番ある」と苦言を呈したほど、内容は悪かった。
それでも、岸は勝った。ミスの出た1、7回はともに4番李大浩を空振り三振に仕留めるなど、後続を無安打。好機を逸した直後で、嫌な雰囲気が漂った9回は3人で締めた。いつでも冷静に、威風堂々とマウンドに立ち続けた。「ミス?
全然(気にならなかった)。バッターに集中できていたんで」。ミスから生まれた反撃の糸口を完璧な投球でふさぐ。まさにエースの投球だ。
渡辺監督は「あれだけいろんなミスが出て、プレッシャーもある中、よく踏ん張った。エースらしいピッチングだった」とたたえた。開幕投手に指名した時から「お前中心で回す」と決めた。開幕こそ3連敗で苦しんだが、自身6連勝で、チームを4カードぶりの勝ち越しに導いた岸に「エース」の称号を与えた。
苦しかった時、助けてくれたのはチームメートだった。「チームに迷惑をかけたので、返していきたい」。世間ではドラマ「半沢直樹」のフレーズ「倍返し」が流行するが、岸が快投で打線に“恩返し”した。【久保賢吾】




