<DeNA2-16巨人>◇25日◇横浜

 巨人菅野智之投手(23)は荒々しかった。今季最速150キロだった直球が初回から次々に更新された。山崎への2球目の内角直球は152キロを計測。初回だけで150キロ超えが8球を数えた。スピードガンには目もくれない。ただ打者に向かって仁王立ちした。「前回はふがいない投球をしたので今日は最初から飛ばそうと思った。気合だけは絶対に負けないように」。決意を投球で示した。

 仁王立ちを通したのには訳がある。4日の阪神戦を境に、マウンド上である行為をやめた。その一戦で、味方の適時野選でヒザに手をつき、ガックリ首を垂れた。バックを守る先輩たちに対して申し訳ない気持ち。加えて、続く打者に垂れた直球を適時打されたことも悔いが残った。真っすぐ立ち、真っすぐ打者に向かっていく持ち味を、自分で殺してしまっている-。「もう、しません」。絶対に下を向かない。立ち居振る舞いでも決意を示した。

 覚悟を決めても、心は揺れていた。前回登板の18日中日戦で2回1/3を7失点。最短、最多失点での炎上KOだった。それからの1週間。今までにない心境に陥った。「今日を迎えるのがすごく怖かった。今までにない気持ちだった」。新人で2ケタ勝利を挙げていた自信が揺らぎかけていた。

 だが、恐怖の1週間も、投げられる喜びを考えれば、吹っ切ることができた。「腹をくくってマウンドに立つしかない。(浪人時代の)去年に比べたら、現状はしんどいとは思わない」。東海大相模高、東海大時代と慣れ親しんだ横浜スタジアムでのプロ初登板。高校、大学ともに最後の登板は黒星だが「思い出もあるし、そのことを思い出しながら投げた」と味わった。

 7回2失点でチームトップの11勝目を客観的に見つめた。「もっと厳しい戦いが待っている。ロースコアでもモノにできるような投球がしたい」。2位阪神とは5ゲーム差。マジックは消えても優勝への機運は高まるばかり。それでも訪れると予感する、しびれる決戦で、菅野がさらに真価を発揮する。【広重竜太郎】