<楽天3-1日本ハム>◇8日◇Kスタ宮城

 悔しすぎる今季初完投となった。日本ハム吉川光夫投手(25)が、8回4安打3失点の力投も報われず、両リーグワーストの12敗目を喫した。断続的に雨が降りしきる中、22試合目の登板で初めて1人で投げ抜いたが、結果は無情だった。チームは今季5度目の同一カード3連敗。首位相手に勢いの差を見せつけられ、自力でのクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性が消えた。

 ぼうぜんと見送るしかなかった。吉川は、自分に落胆していた。8回のマウンド。先頭の楽天嶋に放たれた打球は、右翼ポール際へ吸い込まれた。一塁方向へ2、3歩進んで立ち止まった。着弾点から目が離れない。失意を押し込みマウンドへ戻ると、左後ろのポケットに入れていたロジンを取り出した。宙に投げ、怒りをぶつけるように左手でつかんだ。試合を決定づけられた瞬間だった。

 気合はみなぎっていた。登板前日の7日、短い言葉に闘志を込めていた。「気持ちです。気持ち。メンタルです」。強気で打者に立ち向かうことが、勝利への近道になると再確認していた。有言実行はした。鶴岡とのサイン交換も約3秒で完了。速すぎるほどのテンポで、どんどん投げ込んだ。快調だったが、落とし穴は2、6、8回と3度。2本のソロ本塁打と内野ゴロの間に失点した。「負けたら意味がないので」。毎回の9三振を奪う力投も、悔しさだけが募った。

 雨が降る悪条件も、冷静に対処した。7回は先頭に四球を与えると、ぬかるんだマウンドの再整備をアピールし認められた。最善を尽くしたが、結果は両リーグワーストとなる12敗目。今季初完投という節目も、昨季のリーグMVP左腕にはむなしい響きだった。「負けました。何もありません。すいません」。今季5度目の同一カード3連敗で、首位とは今季最大の14・5ゲーム差。CS進出も遠のく、重い1敗になってしまった。【木下大輔】