<巨人3-1DeNA>◇12日◇東京ドーム

 目が合った。3回2死二塁、巨人長野久義外野手(28)が右前への当たりをさばいた。本塁で刺すつもりだった。カットマンの一塁ロペスが、DeNAブランコの緩い走塁を逃さなかった。「セカンドランナーの走力。打者走者の走力。打球は長野の左」と、複眼の状況判断をした。

 一塁で殺す。長野も呼応した。「チャンスがあれば、とホセ(ロペス)と話していました。しっかり判断してくれた」。瞬時に投げる目標を変えた。戻ったロペスへのストライク送球で、今季2度目のライトゴロが完成した。

 白球に対する執着の差は、DeNAとは歴然としていた。5回。無死一塁の送りバントにサード村田が突っ込んだ。併殺で流れを渡さない。7回はロペスと藤村だ。一、二塁間の鋭いライナーにロペスがダイブ。捕球されたと早とちりした小池が天を仰ぎ、転がった打球から目を切った。藤村が飛びつき二ゴロでチェンジ。7回の2点につながった。

 原監督は、守りながら攻める姿勢を見せた選手たちに呼応した。「ライトゴロは基本に忠実なプレー。1点を取る以上の価値があった」と、雄々しい采配を披露した。2点リードの8回。マウンドに沢村を送った。本格派の投手を中継ぎで起用し、流れを引っ張り込む。特にシーズン終盤戦で繰り出す得意の一手だった。しかも2死無走者で、ダメ押しの山口を投入。戦意を刈り取り逃げ切った。

 「後手は愚策」。原監督の持論だ。攻防一体の横綱相撲で優勝マジックを7とした。「沢村のコンディションは悪くない。このメンバーで、どうすればより強く戦っていけるか」と言った。守りながら攻める。一見矛盾しているような、でも本当に強い戦い方で、最短17日に連覇が決まる。【宮下敬至】

 ▼長野が3回にブランコを一塁でアウトにして右ゴロを完成。長野は5月15日ロッテ戦の2回にもグライシンガーを刺しており、打者走者を一塁でアウトにする「右ゴロ」をシーズン2度は09年ガイエル(ヤクルト)以来、4年ぶり。ガイエルは4月23日巨人戦で東野、7月7日中日戦で中田を一塁でアウトにした。右ゴロを記録した2試合ともチームが敗れたガイエルに対し、長野はロッテ戦が先制、この日は勝ち越しを阻止し、ロッテ戦では自らサヨナラ打、この日はプロ入り初のスクイズを成功させチームの勝利に貢献した。