<ロッテ2-6楽天>◇12日◇QVCマリン

 積極継投で、勝負の流れを引き寄せた。0-1で迎えた5回2死三塁、楽天星野仙一監督(66)が動いた。井口、サブローと右打者が続く場面で、先発左腕のジム・ハウザー投手(29)に代え、2年目右腕の釜田佳直投手(19)を送った。前日11日に約5カ月ぶりに1軍復帰したばかり。中継ぎ経験は少ないが、後続を断ち、直後6回の逆転を呼んで今季初勝利を挙げた。2位ロッテとの3連戦に勝ち越し、優勝マジックは2つ減って「13」となった。

 星野監督が投手交代を告げたのは、0-1の5回2死三塁だった。ロッテは右の井口、サブローと続く。先に1点は失ったが、好投していた先発左腕のハウザーを代えた。責任投球回を投げ終えるまで1アウトだったが、勝利への執念を優先させた。シーズン終盤の2位との直接対決で「ジム(ハウザー)は、あそこまでしっかり投げた。でも、これからは誰が勝ってもいい」と迷いはなかった。

 代わりに、前日1軍復帰したばかりの2年目右腕、釜田を送った。井口には四球を与えたが、次のサブローは空振り三振。直後の6回、打線が4点を奪い逆転。今季初勝利を手にした。星野監督は「流れだな」とポツリ。勝利投手が誰かは二の次だった。5回までを1失点で切り抜けたことが全て。積極的に動き、勝負の流れを引き寄せた。

 ブルペンの右腕は、斎藤、小山伸、青山ら終盤の投手をのぞいても、福山、宮川がいた。福山は2日前の10日に60球を投げており休ませるとしても、まだ宮川がいる。中継ぎの経験は、昨季先発だった釜田より上だ。起用理由を聞かれた星野監督は、ニヤリと笑って「釜田しか(登板準備を)やってなかったんじゃないの」。答えをぼかしたが、練った末のプランだった。

 釜田は投げっぷりの良さが影を潜め、春から状態が上がらなかった。未勝利のまま、4月中旬に2軍落ち。5月には右肘を疲労骨折し、投球再開は7月になってから。それでも、星野監督は見捨てなかった。「短いイニングを投げさせろ」と2軍首脳陣に指示。少ない球数を思い切り投げさせ、本来の投球を呼び覚ました。救援陣に疲れが出る秋、満を持して上に呼んだ。

 この日の最速は148キロと球速も出た。もっとも、井口への四球もあり、星野監督の釜田評は「だ~め!!

 点差が少ないとはいえ、もっとやらなきゃ」と厳しかった。それも、期待の裏返し。中継ぎに“新戦力”を加え、マジックを2つ減らした。【古川真弥】