<ソフトバンク2-4西武>◇12日◇ヤフオクドーム

 ソフトバンク長谷川勇也外野手(28)の勢いが止まらない。CS圏内の3位を争う西武に逆転負けを食らったが、リーグ首位打者はまた打った。3回に先制17号ソロ。6回には一塁内野安打。今季56度目のマルチ安打で10年川崎宗則(ブルージェイズ)のシーズン球団最多に並んだ。「1本出てよしという気持ちでやってないので」。

 2試合ぶり1発は、牧田の直球をバックスクリーンに運んだ。会心の当たりを「しっかりボールに力が伝わるようになってきている。いいこと」と振り返った。パの5球団で西武戦は最多6本塁打目となった。

 9回にはサファテの150キロ直球を逆らわずに左中間を割った。今季19度目の猛打賞。こちらも64年南海広瀬叔功(現日刊スポーツ評論家)の球団年間最多に王手をかけた。200安打達成なるかと注目が集まるが、史上6人目の快挙へ残り19試合で25本とした。

 9月は10試合で驚異の打率5割。シーズン最終盤でさらにペースを上げてきた。「疲れがないわけではないが(体力が)落ちてるわけでもない」。ここ30試合で無安打はわずか4試合。藤井打撃コーチが「大きな不調の波がない」と感心する高値安定ぶりだ。それでも本人は平然と言う。

 「不調もないが、絶好調だと感じたこともない」

 ヤンキースのイチローが8月に日米4000安打を達成。オリックス時代に同僚だった藤井コーチは、長谷川にイチローと近い雰囲気を感じている。「イチローはルーティンをすごく大事にした。例えば試合が終われば、スパイクやグラブをいつも磨いたり。今のホークスで言えば、ハセ(長谷川)がそんな感じ」。

 改造打線の3番に座って2試合が経過。打率リーグトップの打線の中でも、長谷川の存在感は増すばかりだ。【大池和幸】

 ▼長谷川が今季19度目の猛打賞。ホークスのシーズン最多は南海時代64年の広瀬叔功の20度で、長谷川はあと1に迫った。なお2リーグ分立後のプロ野球記録は、10年西岡剛(ロッテ)の27度。