TOKYOの球団らしく、ヤクルトが精いっぱいの「お・も・て・な・し」を見せた。中日からFA宣言した中田賢一投手(31)と20日、名古屋市内の高級中華料理店で初交渉を行った。新(あたらし)専務と角編成部次長が出席し、4年契約の総額5億円を提示した模様だ。ソフトバンク、阪神の4年総額6億円(金額はいずれも推定)にはやや劣る。そこで、新専務は「中田君は決してお金じゃないと思う」と4つの「サプライズ」を用意した。

 <1>「ツバメの巣の澄ましスープ」。約1万2000円の特別コースに、珍しい一品を加えた。中田賢は「食べたことがなかった。おいしかったです」と“ツバメ”の味に笑顔を見せた。

 <2>「小川監督からの電話」。松山で秋季キャンプ中の指揮官の要望で実現した。「打撃など全てにおいて一生懸命やっている姿を見ている」と約10分間、ラブコールを受けた。「そこまで見ていただいたのだとうれしく思う」と感激。

 <3>「背番号17」。先発起用とともに、かつて松岡弘や川崎憲次郎が背負ったエースナンバーを提示。「チームにとってゆかりのある背番号。すごくうれしい評価」と喜ばせた。

 <4>「お土産はもちろん…」。ヤクルト製品計14本を手みやげに渡した。

 中田賢争奪戦を「しんがりから行く」と、名馬タケホープになぞらえていた新専務は「やるだけのことはすべて出した。あとはゴール前で差せるか」と手ごたえを口にした。【浜本卓也】