【米ホノルル(ハワイ州)13日(日本時間14日)】巨人阿部慎之助捕手(34)が、ハワイの青空に日本一を誓い、“海外1人旅”を締めくくった。最終日の放浪の旅ではランニング中に自主トレ中の西武菊池雄星投手(22)と出会い、助言を送る場面も。松井秀喜氏(39)に会うためニューヨークを訪れた旅日記「フーテンの慎ちゃん」をハワイ番外編でお届けします。(取材・構成=広重竜太郎)

 空が高層ビルに囲まれた大都会のニューヨークには圧倒されたけど、青くてきれいな空のハワイもいいよね。でも何か違うんだよな。優勝旅行とはいえ、心から楽しめていない自分がいる。やっぱり日本一になれなかった悔しさは、簡単には忘れられない。

 だから昨日に続いてランニングをしてみようと思ってさ。すごい広い公園で東京ドーム15個分ぐらいの広さがあるらしい。遠くでサウスポーでキャッチボールをしている人がいた。近づいたら西武の雄星。あいさつしたら向こうは驚いていたね。

 今夏から左肩痛で離脱しちゃったし、彼にとっても悔しいシーズンだったと思う。「変化球でストライクが取れないんです」と聞かれた。俺が今年、本塁打を打ったのも変化球の制球に苦しんでからのインハイの直球だった。悩んでいるように感じたから、50メートルぐらいの距離で変化球を投げるといいとアドバイスした。昔、森さん(現中日ヘッドコーチ)から聞いた練習方法で変化球の軌道をイメージしやすくなるから。本家・寅さんの商売するときの決めぜりふ「持ってけ泥棒!」というほどのヒントじゃないけどね。才能ある若い子には頑張ってもらいたいから。

 明日からは家族も合流する。ニューヨーク、ハワイと“1人旅”が続いたけど、日ごろのサポートに感謝して家族サービスに徹しようと思う。もうフーテンはおしまい。来季に向けての準備も始まる。てっぺんから見る朝日と海がきれいだと聞いていたから、本当は観光名所のダイヤモンドヘッドに登ろうと思っていた。でも今回はやめとく。来年は、日本一を奪い返して堂々とハワイの絶景を見たい。(巨人捕手)