巨人阿部慎之助捕手(34)が21日、「打倒・村田」を開幕までのテーマに掲げた。今日22日に出演するトークショーのため長野・松本入り。来季さらなる進化のために、村田修一内野手(32)との4番争いを歓迎した。日本シリーズで極度の不振に陥った主将が、日本一奪回、リーグ3連覇へ、貪欲な競争意識を示した。

 阿部の向上心はただものではなかった。名実ともに球界トップに君臨し、絶対的存在感は周囲も認めるところ。今季は99試合で4番に座り、主将、正捕手の3役を一挙に引き受けた。「捕手で4番を打つということを大変だと感じたことはない。それよりも、4番を打たせていただいて光栄だという気持ちの方が強い」と、意気に感じてシーズンを戦ってきた。

 だが、満足の2文字などない。チーム事情もあり、終盤戦を中心に37試合で“定位置”の4番を村田に譲った。「打順はあまり関係ないけど、いい意味で開幕までは修一と競っていければ。そうすれば、自分にとっても修一にとってもいい刺激になる」と、チームメートとの競争を歓迎した。

 来年で35歳を迎えるベテランだけに開幕までの仕上げ方も熟知している。「自分のペースを守ることが大事。焦ってもダメだし、遅すぎてもダメ」とし、「オープン戦の終盤ぐらいに1つのピークに持って行くのが理想」と説明。今季は開幕前にWBCが控えていたため急ピッチでの調整を強いられた。「それだけが原因じゃないけど、最後は体がきつかった」と、日本シリーズでの不振も来季への教訓にする。

 いずれにしてもチームの核であり、打線の枢軸を担う役割は変わらない。「日本一になれなかった年は反省とか悔しさの方が多い。何が何でもという気持ちで来年に臨みたい」。向上心を忘れず、あえてチーム内の競争に飛び込む。【為田聡史】