中日吉見一起投手(29)が27日、14年の1字を「忙」に定めた。今季は右肘の故障や手術もあり、登板わずか6試合。その1年を「暇」と振り返り、来季はその対局目標で「忙」とした。最短復帰は手術から1年後の6月で、落合博満GM(60)からも「6月から10勝」のノルマをもらっている。開幕3カ月遅れの大車輪で優勝奪回に貢献する。

 吉見が書いたのは意外な漢字だった。「14年の決意を1字で表すと?」と問われた時だ。

 吉見

 来年は忙しくなりたい。だから『忙』です。

 プロ野球選手は優勝の「勝」など、勝ちに直結する文字を好む選手が多い。そんな中で「忙」とは珍しい。

 吉見

 言葉は悪いけど今年は暇すぎた。何もしていない。投げてないからつまらない。だから今年を1字で表すなら「暇」ですね。

 右肘の故障や手術もあり、登板6試合で1勝4敗、防御率4・71。「アマチュアも含めてこれほど野球をしなかった年は初めて」と言うほど、ほぼ1年をリハビリに費やした。テレビでしか応援できない「暇」のつらさをいやというほど味わった。「チームが4位だったのは僕にも責任がある」。「忙」の幸せを再確認した1年。だからこそ「暇」の対局を目標に選んだ。

 吉見

 僕は投げることが一番の仕事だし、試合で投げてナンボ。やっぱり投げなくちゃいけないですよ。

 最短復帰予定は術後1年を迎える6月だが、戻れば即ローテの中心に戻る意気込みだ。そして連覇中の巨人を倒して優勝し、CS、日本シリーズと大忙しの大車輪。開幕3カ月遅れながら、12年ぶりのBクラスで「暇」だったチームの10月以降も「忙」に導く考えだ。「6月からでも2桁勝つのは簡単」。契約更改で、落合GMから飛ばされたゲキも、いい発奮材料になっているという。

 吉見

 肘はもう問題ないです。来年、再来年でしっかり取り返したいですね。

 復活計画も順調だ。すでに塁間のキャッチボールを開始。この日はナゴヤ球場でランニング後に屋内でネットスローを行い、感覚を確かめながら1球1球投げ込んだ。年内の名古屋自主トレは今日28日で打ち上げるが、年明けは温暖な沖縄でトレーニングを継続する。吉見の「暇」がチーム成績にも直結した13年。エースが「忙」になればなるほど、竜の優勝が近づくのは間違いない。【松井清員】