中日の18年目森野将彦内野手(35)が15日、“神様指令”を受けたことを明かした。年明けに自主トレ先のグアムで、22年間の現役生活を終えた元阪神桧山進次郎氏(44=日刊スポーツ評論家)に遭遇。虎の主砲からキャリアを積んで代打の神様へ。世代に応じた打撃スタイルで一線に立ち続けた職人から野球人生を全うするよう直言され、奮い立った。

 いるはずのない神様が、常夏の島にいた。森野にとって6年目となる恒例のグアム合宿。他球団の選手やサッカーのキング・カズがギラギラの太陽を浴びて汗を流す。いつもの光景が広がる奥に、神様の姿を認めて、目を疑った。昨季限りで引退したはずの元阪神桧山氏が、1年前と変わらぬ姿でトレーニングしていた。

 「何やってんですか?」

 ビックリして、あいさつに駆け寄ると「ゴルフの合宿だよって」と笑ったという。思わぬ遭遇で、思わぬ言葉まで飛び出した。「現役長く続けてくれよ」。現役を退いたばかりのレジェンドから、気持ちが奮い立つ「長寿指令」を受け取ったのだ。

 相手はライバル球団の先輩だ。めったにないチャンスに森野は「アレすごかったですね」と声をかけてしまった。桧山氏が現役最終打席となった昨秋のCS広島戦。第2戦の最終回に代打で右翼に劇弾を放った。「真剣勝負の場で打てて良かったって」と心の躍る会話を振り返った。

 「若いときと終盤では印象が違う。若いときは大振りで、終盤は味のあるバッティング」

 これが、森野が抱く桧山氏の印象だ。「あの人は4番を打ってた選手。オレなんかとは全然違うよ」と謙遜するが、左の中距離ヒッターという共通項がある。世代に応じた打撃スタイルで甲子園を沸かせた桧山氏の言葉は、35歳の森野にとってもプライスレス。頭に思い浮かべて「いい年初め、だった。ちょっとした言葉がありがたい」とかみしめた。

 桧山氏のゲキが効いたのか、いつになく調整が早い。本来、グアムでは持つことがないバットもすでに握っている。この日もナゴヤ球場の屋内練習場にこもり、黙々とボールをはじき返した。今年はこだわりを持つ三塁のポジションを奪い返すと誓った特別なシーズン。ルナ、小笠原らとの激しいポジション争いが待つ。神様の言葉を胸に、勝負のシーズンに臨む。【桝井聡】

 ◆桧山氏の足跡

 平安(現龍谷大平安)東洋大を経て91年ドラフト4位で阪神入り。97年開幕戦など球団73代目4番として301試合に先発。96年から2年連続シーズン全試合に出場した。03年7月2日中日戦(甲子園)でサイクル安打を達成。06年からは代打の切り札となり「神様」と慕われる。昨年10月13日のCSファーストステージ広島戦では、現役最終打席で右越え2点本塁打を放った。通算成績は1959試合、4863打数1263安打、159本塁打。打率2割6分。