今年の合言葉は「惜敗撲滅」と「連敗ストッパー」や!

 阪神能見篤史投手(34)がエースの自覚を口にした。15日は沖縄・宜野座村内で自主トレを公開。力強いキャッチボールを披露し、調整は順調だ。「今までの自分ではダメ」と気合十分。接戦への強さなど、先発陣の軸を担う男らしく、意識の高さをにじませた。昨年は8月29日巨人戦(東京ドーム)で粘りきれず、逆転優勝の可能性が“消えた”。悪夢を消し、完全無欠の存在を目指す。

 のどかな南国のムードが一瞬でピリリと引き締まった。「エース」の金看板を背負うために…。阪神先発陣で絶対的な存在の能見は何1つ満足していない。今季の抱負を問われると、キッパリと言い切った。

 「今まで通りの自分ではダメなので、もうちょっとレベルアップしないと。毎年、そう思っているけど、今年は、より強く思う。強いて言えば、安定感です」

 悪夢がある。昨年8月29日巨人戦での登板だ。首位巨人に7ゲーム差の2位で、逆転優勝のためにも後がない状況だった。7回まで4安打無失点で2点のリードを守っていた。だが、8回に1点をかえされ、9回は同点に追いつかれて途中降板。ベンチでグラブを投げつけ、悔しさをあらわにした。大黒柱の存在意義を自問せずにいられないマウンドだっただろう。だからこそ言外に思いがにじむ。

 「その試合のなかで、惜しくも負けというのをなくしていきたい。(点を)取られなければ負けることはない。味方が(点を)取れないときに抑えられるかが課題です。毎年、思うことですが、また新たに考えるところがありました」

 大一番を託されるのはエースの宿命。踏ん張りどころを、いかにしのぐか。その苦しみを味わったからこそ強くなれる。

 「チームが沈みかけるところで止めるのが投手。そういうのも、もっとできればいい。試合のなかで1球1球が大事。もっと、意識を高めてやりたい」

 昨季、連敗で迎えた登板試合ではチームを6勝(3敗)に導くなど善戦した。特に4連敗、5連敗を1度ずつ止め、窮地で悪循環を断った。今季も「連敗ストッパー」の役割をこなす。

 この日、宜野座村野球場で約60メートルの遠投を行った。キャッチボールでは矢のような投球も披露。昨季は3月のWBC出場のため、早く仕上げたが今年はゆとりがある。「去年は、ズレがあった。勝てない時期もあった。長く感じたのもある。始まったばかりだし、徐々に上げていく」。大黒柱は強固な土台があればこそ揺るがない。【酒井俊作】