開幕投手も、ある!?

 楽天は21日、仙台市内のホテルで星野仙一監督(67)ら首脳陣、球団幹部によるスタッフ会議を開いた。新人9選手では唯一となる、ドラフト1位松井裕樹投手(18=桐光学園)の春季キャンプ1軍スタートを確認。星野監督は、開幕投手に抜てきする可能性も言及。2月1日からの沖縄・久米島キャンプでは注目ルーキーの仕上がり具合に、より注目が集まる。

 大抜てきの可能性を聞かれ、星野監督は少し考え込んだ。約2時間続いた会議で、松井裕の1軍キャンプスタートを決めた。会議後「開幕投手もあるか」と質問を受けた。「まだ、見てもいない」と言った後で、しばし沈黙。「俺の選択肢には入っている」。そう言って、ニヤリと笑った。

 前代未聞を恐れない。昨季も、新人の則本を開幕投手に抜てき。7回途中4失点で結果は出なかったが、大舞台でデビューさせ、新人王を取らせた。則本は大卒だが、高卒ルーキーの開幕投手となれば、56年牧野(東映)以来。楽天では、もちろん初めてだ。「俺は、何も怖くない」が口癖の星野監督。松井裕が紅白戦、練習試合、オープン戦と結果を出していけば、ひょっとしたら、と思わせてしまう。

 たとえ、リップサービス含みだとしても、星野監督が、それだけ期待しているのは間違いない。松井裕が12年夏に甲子園に出たころから注目。新人合同自主トレの報告も聞き「投げっぷりが良い。俺好み。投げっぷりが良いから、マウンドでも大きく見える。(同じ高卒の阪神)藤浪も1年、よくやったけど、その上をいくよ」と褒め言葉を続けた。「内容は7掛け、8掛けで。故障されたら困る。ブレーキをかけながら、ある部分ではケツをたたきながら、トレーニングコーチと相談しながらやっていく」と厳しくも、愛情を持って育てていくつもりだ。

 監督の言葉を伝え聞いた松井裕は「まだまだ力は及びませんが、期待に応えられるように頑張ります」と意気込んだ。絶対エースの田中が抜けて、日本一連覇に挑む今季。星野監督は「田中の前にも、後にも、田中はいない。みんなでスクラムを組んで、どれだけ埋め合わせできるか」と言った。スクラムのピースに、松井裕を加える。【古川真弥】

 ◆高卒新人の開幕投手

 新人の開幕投手は昨年の則本(楽天。三重中京大出)まで2リーグ制後13人いるが、高卒に限れば52年大田垣(広島)54年梶本(阪急)56年牧野(東映)の3人だけ。松井裕が起用されれば58年ぶりになる。