球界の次世代を担うニュースターが、ド派手に今季をスタートさせた。日本ハム大谷翔平投手(19)が24日、チームメートの稲葉らとともに、沖縄・名護で合同自主トレを開始した。今オフ初めて屋外で行ったフリー打撃では、右翼場外の丘の上にある、駐車場付近まで飛ぶ推定150メートル弾を放つなど、圧倒的な存在感を見せた。ローテ入りを狙う投手起用がメーンになるとはいえ、今季も投打「二刀流」は継続。マー君が去る日本球界を、規格外のプレーで盛り上げていく。

 感嘆の声と、場を盛り上げる口笛が響いた。キャンプ地とはいえ、自主トレ期間中では、まだファンの姿もまばらな沖縄・名護。“観衆”は稲葉や金子誠、陽岱鋼らチームの先輩たちだ。大谷が今オフ初めて屋外で行ったフリー打撃。右翼芝生席後方にある高さ約5メートルの防球ネットを軽々と越えた大飛球は、場外の小高い丘にある駐車場付近にまで到達した。

 大谷

 飛距離は去年より出ていると思います。トレーニングの成果もそうですし、スイングもしてきた。いろいろやってきたことが全部出ているんだと思います。

 プロ入り最長の推定150メートル弾にも、本人は平然としていた。

 投手起用がメーンになるとはいえ、今季も投打「二刀流」は継続する。栗山監督は「打って投げて勝たせてほしい。『チームを勝たせろ』と本人にも言ってある」と期待値が高いからこそ注文をつける。オフの間、素振りもマシン打撃も、サボらずにこなしてきた証しが、打球の飛距離に表れた。稲葉も「よく体が動いている。若手に引っ張られて、こっちもいい意味でつられる」と評価した。

 ヤンキース移籍が決まった田中とは昨季、打者として13打席の対戦で11打数無安打6三振。完敗だった。「甘い球がなく、コースにしっかり来ていて、なかなか打てないなと思いました」。もう再戦することはできなくなったが、すべての対決が貴重な財産になった。前日23日には「実力が伴えば、勝手に(周囲から)そう見られる。練習して、そういうレベルになりたい」と、「後継者」としてスターの系譜を継ぐ覚悟を語ったばかり。さっそく、その“条件”を満たす、高い能力の一端をのぞかせた。

 打撃練習後には、100メートルを超える遠投もこなした。「(沖縄は)思ったよりもあたたかい。スイングの数も、ピッチングも遠投も増やしていきたい」。打って一流、投げても一流となる可能性を秘める大谷。メジャーにも負けない魅力が、日本にもある。【本間翼】

 ◆昨年の大谷対田中

 打者で4試合対戦し、投手では1試合投げ合った。初めて対戦したのは大谷が7番右翼で出場した4月9日で、結果は三振、遊併、三振。通算13打席対戦して11打数0安打、1四球、1死球の6三振。田中からはヒットを1本も打てず、8月2日にはプロ入り初めて1試合で3打席連続三振を喫した。投手で対戦したのは9月6日。大谷は4回まで楽天打線を0点に抑え、4回を終わって日本ハムが2-0でリード。勝利投手の権利目前の5回裏に藤田の適時安打で追いつかれ、大谷は同点のまま5回2失点で降板。6回に楽天が勝ち越し、田中は11奪三振の完投で稲尾(西鉄)に並ぶシーズン20連勝を達成した。