ライアン、則本クラスだ!

 日刊スポーツ評論家の広瀬叔功氏(77)が25日、広島ドラフト1位の大瀬良大地投手(22=九州共立大)を絶賛した。22日に広島・廿日市市内の大野練習場でブルペン投球を視察。最速153キロを誇る剛速球以上にカーブなどの変化球に高得点をつけ、昨季新人王を獲得したヤクルト小川、楽天則本クラスの評価を与えた。

 めったにルーキーを戦力と見なさないという広瀬氏が、興奮気味に口を開いた。22日に大野練習場を訪れ、大瀬良の投球を視察するためブルペンへ。捕手の真後ろで腕を組んで仁王立ちし、ジッとボールの軌道を追い続けた。捕手を立たせ、カーブにカットボール、スライダー、チェンジアップを交えての50球を見終え、◎の評価を与えた。

 広瀬氏

 私は昔から新人を評価の対象としない。やればもうけもん、ぐらいの気持ちで考えるが、彼はやるな。新人王を取れるボールだ。捕手を座らせても、立ち投げの時のように直球が打者の手元でビュッと伸びるようであれば、ヤクルト小川や楽天則本に引けを取らない力があると思う。

 特に高評価したのは意外にも変化球。「真っすぐも手元で伸びていていいが、捕手を座らせた途端に手元で垂れる投手もいるから、まだ判断はできない」と説明した上で、打者目線で変化球の曲がりを絶賛した。

 広瀬氏

 カーブもチェンジアップもそうだけど、ミットに入る直前で曲がる。あれは打ちづらいと思うよ。投げ方が安定しているからコントロールがいいし、球種も多い。現代野球はデータが豊富だから、直球とカーブとか2種類の球種だけでは通用しない。ストライクを取れる変化球が3、4種類ないといけないが、彼にはそれがあるから。

 大瀬良は大学時代、カットボールやスライダーを変化球の軸とし、試合でカーブを投げる機会は少なかった。投球後、広瀬氏は「カーブは打たれるのが嫌で…」と話すルーキーに対し、「緩いボールを投げたくない気持ちは分かるけど、いいボールだ」と伝えた。そして、最後に「怪童」の名前を出して笑った。

 「ストレートの速さは尾崎級だな」

 元日拓(現日本ハム)尾崎行雄氏(享年68)。160キロ超と言われた剛速球を武器に、18歳シーズンの1年目にいきなり20勝をあげた剛腕。広瀬氏の野球人生で「一番、ストレートが速いと感じた」投手だ。「さすがに20勝は無理だと思うけど、ちょっと尾崎が頭によみがえったな」。広瀬氏はしみじみと怪童を思い返しながら、大瀬良の大成を予感した。【佐井陽介】