1番でも4番でも、どんと来い!

 阪神鳥谷敬内野手(32)が2日、ランチ特打に初登場した。ほとんどが強烈に引っ張った打球で、柵越えは15本。昨季は定位置の3番だけでなく、4番も任された主将は、どの打順でも打てるように準備するときっぱり。和田監督はオープン戦で1番鳥谷の攻撃型オーダーを試す構想を明かした。

 雨上がりの空に、きれいな放物線が描かれた。ランチ特打に登場した鳥谷が初球を振り抜くと、打球は右翼スタンドの芝生に弾んだ。日曜日の沖縄・宜野座球場につめかけた虎党から拍手が起こった。猛打ショーの始まりだった。

 「まだ始まったばかりなんで。しっかり振れることだけですね。僕はホームランをポンポン打つ打者じゃないですし」

 そうは言ったが、打球がすべてを物語る。バットのヘッドが下がらないスイングではじかれた白球は、ほとんどが中堅から右翼方向へと鋭く飛んだ。上からたたいた打球はスピンがきいて飛距離が出る。フェンスオーバーは15本。やはり今年も、打線の中核はこの男だ。では、何番を打つのか。

 「まだ、だれが守るかわからないポジションもありますから。ただ、どの打順を打とうが大丈夫という準備をするのが僕たちの仕事だと思っていますから」

 鳥谷はあえて打順をイメージしなかった。胸の中にはどの打順でも打つ覚悟があるという。昨季は定位置の3番でスタートし、9月に4番を任せられた。巨人に突き放された猛虎を立て直すためだった。初めての経験だったが、チームが失速していく中、26試合で打率3割2分6厘、2本塁打、16打点と成績を残した。

 そんなキャプテンに対して、和田監督はオープン戦で新たな可能性を試そうとしている。

 「特に鳥谷、能見のシーズンオフの発言を聞くとリーダーシップが感じられるね。鳥谷の1番?

 個人の力は分かっているからね。適性もある。選球眼が大きな武器だし、足も使える。適性としてはおもしろい。オープン戦でも試すことはあると思う」

 あまり目立たないが、鳥谷にはある“肩書”がある。3年連続の「四球王」だ。昨季は出塁率4割2厘。昨年のWBCで見せたように、盗塁技術も抜群だ。初回、先頭打者に鳥谷を迎える。一発もあり、四球からのかき回しもあり。相手先発が最も嫌がるであろう打順をテストするようだ。

 「数字的な目標というのは特にないです。チームが勝てるように。自分がプロに入ってから、日本一というのはないですから」

 練習で猛烈なスライディングを見せ、大声を張り上げる。日本一への野望を背に、この日の打撃のように、猛虎を力強く引っ張っていく。【鈴木忠平】

 ◆1番鳥谷のメリット

 和田監督は日刊スポーツ正月企画だった桧山進次郎氏との対談で初めて披露した。「トリの1番もおもしろい。1番なら30盗塁ぐらいするよ」と構想を語った。1月14日には西岡と大和とのトリオで「3人で100(盗塁)になってくるとおもしろい」と期待。昨季リーグトップ108四死球を記録するなど近年は屈指の高出塁率を残し、俊足への評価も高い。主軸ではなく1番なら盗塁数が増えることは確実だ。さらに昨季は4番も任された勝負強さと長打力もあり、いきなりガツンとたたくトップバッターへの可能性も秘める。