ヤクルトのドラフト1位杉浦稔大投手(21=国学院大)が沖縄・浦添で4日、「ライアン流」キャンプ調整法で第1クールを終えた。昨年は小川ら新人は、首脳陣の指示で第1クールのブルペンでは「球数制限」と「変化球ほぼ禁止」の調整法を取っていた。その結果、小川はキャンプ序盤で直球の精度を高めてペースをつかむと、ブルペンでなく実戦でアピールして台頭。故障で離脱せずにローテーションを守り抜き、16勝4敗で最多勝に輝いた。

 このやり方を、今年も踏襲する。杉浦は2度ブルペン入りしたが、球数は合計で103球。持ち味の変化球は10球程度しか投げなかった。これは7球種を持ちながら、ほぼ直球のみで第1クールを終えた昨年の小川と酷似する。入団1年目のキャンプは意気込みが強くて飛ばしすぎる傾向にあるだけに、伊藤投手コーチは「物足りないかもしれないけど、制限してあげないといけない。アピールは試合で十分」と説明した。

 そんな首脳陣の“親心”を杉浦も理解している。「大学時代より球数は少ない」と言いつつ「そこまで考えて下さってありがたい」と感謝。ブルペンでは「直球は生命線。漠然とこなす練習だけはしないように」と意図を理解し、内外角低めに直球を投げ込み続けた。「最初は思ったより疲れも出たけど、ちょっとずつ慣れてきました」と、セーブをかけたことで第1クールを笑顔で終えられた。

 少しでも「ライアンイズム」を吸収させようと、宿舎は同部屋。実戦デビューは16日の練習試合KIA(韓国)戦と、初対戦チームも同じに決まった。杉浦は「小川さんは自分の生活リズムがしっかりしている。いろいろ話したい」と目を輝かせた。ライアンが通った新人王への道を、杉浦も歩いている。【浜本卓也】

 ◆ライアン小川の1年目キャンプ

 昨年は今年より練習日が1日多い「5勤1休」ペースだったが、第1クールのブルペンは「球数の目安は合計120球」と「球種はほぼ直球のみ」に制限されていた。そこでは小川はまだ目立った存在ではなかった。だが2月18日の初実戦となったKIA(韓国)戦で、自己最速を1キロ更新する148キロの直球を武器に、2回無失点に抑えて注目される。対外試合の連続無失点記録を14回まで延ばし、1軍の開幕ローテーションをつかんだ。

 ◆杉浦稔大(すぎうら・としひろ)1992年(平4)2月25日、北海道帯広市生まれ。小3で野球を始める。帯広大谷では1年春からベンチ入りしたが甲子園経験なし。国学院大では3年春にエースとして2部優勝、入れ替え戦で2勝して1部復帰に貢献した。189センチ、86キロ。右投げ右打ち。血液型A。独身。