話題性だけじゃない!

 ロッテのドラフト5位、アジャ・コングこと井上晴哉内野手(24=日本生命)が長距離砲の本領を発揮した。打撃投手を務めた08年ドラフト1位のサウスポー木村優太(28)から9打数8安打の固め打ち。1本塁打に加えて右翼、中堅、左翼の3方向へフェンス直撃の広角打法も披露した。居残り特打では200スイングで68発。立花打撃コーチから課されたノルマ50発を軽々クリアするアーチ量産だった。114キロの太めキャラのイメージが先行していたが、まもなく始まる実戦へ、実力でも猛アピールした。

 バシッと鈍い音を立てながら、井上の打球が面白いように飛んでいった。待ちに待ったプロ投手とのフリー打撃対決で、力強くバットを振り抜き、好調のバロメーターでもある、右に中に左へと広角に長打を運んだ。対戦した木村も素直に脱帽するしかない。「悪い球じゃなかったんですけど、結局いい当たりにされちゃって。追い風とはいえ飛距離がすごい。いいっすね」と褒めたたえた。

 さらに度肝を抜いたのが特打だった。立花コーチから命じられた50本の柵越えをクリアすると、バレンティン(ヤクルト)の60本、ソーサ(元カブス)の66本と、大打者のシーズン記録まで突破。ボンズ(元ジャイアンツ)のメジャー記録73本こそ届かなかったが、68本で200スイングを終えた。井上は「気持ち良く打てました。アーチを描くイメージの練習ですね。トップ(ボンズ超え)にはなれなかったけど、次にまた挑戦します」と、手ごたえを得ていた。

 立花コーチが意図を明かす。3日に初めて行った特打では10本にも満たなかった。「うまく打とうとすることはない。打撃練習ではすべてホームランを狙えと言ってます。誰にでもじゃない。彼だからです。遠くへ飛ばせる。本当のホームランバッターは少ないからね」と待望の大砲を期待する。

 12日からの紅白戦に向けて、伊東監督は「タイプは中軸だね。5番か6番かな」とクリーンアップ起用をほのめかした。「あの体を使いこなしているから、能力的には高い。引きつけて長くボールを見られる。ヘッドが遅れて出てくるから、変化球にも対応できるだろう」と最大級の評価を与えた。

 16日にはオープン戦も始まる。井上は「1日も早くプロの球に慣れたい。きょうはその初めの1日。結果を出すしかない。ホームランもあるけどチームに足りない打撃をしていきたい」と、打点を稼げる打者を目指していく。【矢後洋一】

 ◆井上晴哉(いのうえ・せいや)1989年(平元)7月3日、広島市生まれ。崇徳では外野手で高校通算31本塁打、甲子園出場なし。中大では3年夏に大学日本代表入り。東都通算は12本塁打。日本生命では主に4番指名打者。背番号はハンク・アーロン(元ブレーブス)、元阪急ブーマーと同じ「44」。180センチ、114キロ。右投げ右打ち。

 ◆主なキャンプのさく越え量産

 松井(巨人)は95年秋季キャンプのフリー打撃、197スイングで場外12本を含む83本のさく越え。春季キャンプでは97年に108スイングで65発と、驚異の「さく越え率60%」をマークした。小久保(ダイエー)は03年、フリー打撃で78スイング中41本、特打で108スイング中42本と、1日で合計83本。キャンプ終了後も宮崎に居残った95年落合(巨人)は、139スイングで5本の場外を含む40本と、41歳とは思えぬパワーを披露した。