拝啓

 掛布さん、僕は沖縄で元気です!

 阪神伊藤隼太外野手(24)が「甲子園打法」を見せつけた。鳥谷、西岡を欠いた宜野座のフリー打撃で圧倒的な打球。特に左方向への弾道が強烈だった。

 初スイングでオーバーフェンス。高く舞う2本目も柵越え…。本拠地の浜風のような右から左へと吹くフォローの風を差し引いても力強い軌道だった。

 「逆方向でも引っ張るというか、強く振ろうと思っています。キャンプで初めて納得いく感じで振れた」

 ミスタータイガースの粋な「プレゼント」に弾丸ライナーで応える。鶴との23スイングで4発は、すべて左へ。強く押し込めている証拠だった。キャンプインに合わせ、人知れず隼太宛てで読谷村の宿舎に荷物が届いていた。差出人は「掛布雅之」だ。筒の箱を開けると、柔らかくしなる赤い棒が入っていた。安芸キャンプの早朝練習で若手が用いる「掛布棒」だ。

 両肩を水平に回し、軸を意識するには絶好のアイテム。隼太は「それでスイングしています」と明かす。第1クールの4日間は思い描く打撃をできず、前日6日には掛布DCから電話がかかってきた。この日、安芸でも「試行錯誤しているみたい」と話していたが、心配を吹き飛ばす弾丸ライナーだ。マシン打撃でも35スイングで8発。今度は豪快にすべて引っ張った。

 満足せずに午後6時20分まで居残り、打撃練習に没頭した。「いいときこそ、打っておかないと」。掛布さん、まだ長丁場の戦いは始まったばかりです。「敬具」は活躍したシーズン後につけます。【酒井俊作】