これぞ、職人の泳ぎだ。巨人井端弘和内野手(38)が8日、宮崎キャンプでのチーム打撃練習で見事な右打ちでエンドランを成功させた。キャンプを通じた練習では、わざと泳ぎながら打つ職人芸を高めている。

 同僚たちも、うなった。無死一塁を想定した戦術練習。左腕の高めに浮いた直球をライト前へはじき返し、走者を三塁へ進めた。美しすぎるエンドランを完成させた。「(右打ちは)いまさらどうこうはない。でもサインの確認もあるし、一通りできてよかった」と冷静に話した。

 泳いで、打つ。井端はスイングの際に、右足から左足に軸を移し、大きく体重移動をする。練習ではさらに泳いで体勢を崩しながら、前でボールを拾うような打撃を見せる。球団スタッフは「井端さんに『自分は泳いでナンボ。泳がないと縦変化の球は拾えない』と言われます」とチェックを頼まれている。

 井端が神髄を語った。

 井端

 僕はその対応をしないといけないバッター。低めの変化球は本当は打っちゃいけないが、それにうまく反応できないと厳しい。引っかけるようではダメ。泳ぎながら打てるかが調子のバロメーター。真ん中は誰でも打てる。そうじゃない所をファウルにするか、ヒットにするか、凡打にするかで変わってくる。

 職人芸はナンバーワンではなく、オンリーワンとも言える。橋上打撃コーチは分析する。「独特の打ち方。あれだけ体重移動したら普通はミート率が落ちる。でもバットを長く持って前に移動して打つから低めの球も拾える。他の選手は参考にならないかもしれない。食らいつく姿勢は見習ってほしいけど」と舌を巻いた。

 「すべてを含めて体がまだ弱い。上げていかないと」。技術と肉体の調和が取れた時、ベテランの味を発揮する。【広重竜太郎】<井端の職人芸>

 ◆ファウル打ち

 どんな球でも食らいついて、ファウルにする技術は球界屈指。投手の球数制限があるWBCでは、貴重な技術となった。

 ◆右打ち

 外角の球に限らず内角の厳しいコースも腕をたたんで右方向へ運ぶ技術を備え、得点圏では高確率で右方向への打撃を徹底する。

 ◆守備

 中日時代は荒木との「アライバ」コンビで鉄壁の二遊間を形成した。グラブさばきが芸術的で、04~09年は6年連続ゴールデングラブ受賞。二塁コンバートから遊撃に復帰した12年も再び受賞した。