躍る鼓動を沈め、カムバックへの軌跡を刻んだ。日本ハム斎藤佑樹投手(25)にスイッチが入った。紅白戦の紅組で先発。マウンドを分け合ったのは大谷、相手の白組4番は中田。アドレナリンが噴き出た。「高まる気持ちを抑えるのに必死でした」。右肩関節唇損傷から復活を期し、勝負をかける4年目の初実戦に臨んだ。

 敗れても力勝負を挑むことができたことが、復活の兆しだった。1回2死三塁で中田。2球目にこの日最速142キロをマークした。やや真ん中直球を左前へ運ばれ先制を許した。気持ちは折れず、続く鵜久森の3球目に胸元をえぐる新球シュート。バットをへし折りファウルさせ、遊直で仕留めて切り抜けた。

 2回2安打1失点。厚沢投手コーチが「大谷よりも斎藤の方が投球をしていた」と及第点を出した。次回登板は13日韓国・KIA戦(名護)の予定。「課題がある。もう1段階、ステップアップしていきたい」。斎藤のプライドをかけた球春が、始まった。