よしお前、バレンティンを抑えろ!?

 中日ドラフト2位の変則右腕又吉克樹投手(23=四国IL・香川)が右打者キラーの本領を発揮した。キャンプ2度目の打撃投手でルナ、ゴメスに61球。34スイングで安打性わずか4本に抑えた。ゴメスのバットを折り、右打者のルナは内角へ食い込むボールでキリキリ舞いにさせた。ルナが60発男ヤクルト・バレンティンにぶつけることを提案するなど、即戦力ルーキーが台頭してきた。

 球界屈指のミート力を誇るルナが窮屈そうにバットを振る。打席から見る又吉のフォームは、明らかに打ちづらそうだった。遅れてくる腕が、右打者にとって見えづらい。昨季途中まで首位打者を快走していたルナに31球を投げ、安打性の当たりは3本。8ストライクを奪った。ルナは目を丸くしてこう証言した。

 「真っすぐが見えづらくて重い。スライダーもいいね。起用法?

 そりゃ右バッターがいいよ。バレンティンにも効果的だ」

 昨季チームは60発男に3割7分7厘、10本塁打と打ち込まれている。ドラフト2位の新戦力を、天敵封じの飛び道具に指名した。

 又吉の武器は技術だけではない。一番の持ち味は、強いハートだ。2人目のゴメスには甘く入ったボールを右翼防護ネットにまで運ばれた。推定135メートル弾を浴び、闘争心が点火。その2球後には「ホームランを打たれたので折りました」と内角攻めで主砲候補のバットを粉砕した。

 開幕1軍の道も開けてきた。森ヘッドコーチは「頭(先発)が少ないから頭でいくのか、(中継ぎで)回数を投げさせなきゃいけないのか。これからの展開次第。次のシート打撃と試合に投げさせるよ」と明かした。ポジションは決まっていないが、又吉の名前を1軍構想に刻んだ。

 マウンドを降りてからもブルペンで152球を投げて感覚を確かめた。「ボールをなでる感じだったので、たたくことをイメージして投げた。まだもう少しです」と納得はしていない。バットを折ったゴメスから「弁償してくれよ」とドミニカンジョーク?

 を飛ばされると、すぐさま「出世払いで」と切り返した。高い技術に強心臓。ルーキーはブレークの予感プンプンだ。【桝井聡】

 ◆又吉克樹(またよし・かつき)1990年(平2)11月4日、沖縄県浦添市生まれ。西原-環太平洋大を経て、13年に四国IL・香川に入団。1年目から最多勝でMVPを獲得した。変則サイドスローから繰り出す最速148キロの直球が武器。昨年ドラフト指名順位の2位は、四国IL史上最高位。180センチ、74キロ。右投げ右打ち。背番号16。

 ◆中日戦でのバレンティン

 3年間で60試合に出場し、通算68安打はカード別最多。打率3割9厘は、DeNA戦3割2分8厘に次ぎ対セ球団2位と安定した成績を残す。19本塁打、50打点はそれぞれセ球団とのカード別3位(いずれも最多はDeNA戦で、27本塁打、62打点)。