阪神の新守護神・呉昇桓(オ・スンファン)投手(31=韓国・サムスン)が、13日にフリー打撃に登板することが分かった。初ブルペンで他球団の「007」を震撼(しんかん)させた“石直球”が初めて打者相手に投じられる。8日は初めて投内連係に入ったが、捕手からの指示が伝わらず、早速、言葉の壁にぶつかった。1つずつステップを上がっていく豪腕ストッパー。虎打線との対決が今から楽しみだ。

 呉昇桓が移籍後、初めて打者相手に“石直球”を投げ込む。球団関係者によれば、韓国時代はフリー打撃に登板する練習方法はなかったという。ただ、1軍首脳と話し合った結果、打撃投手→シート打撃登板→実戦と日本球界のステップを踏んでいくことになった。まず第1段階となる打撃投手は、13日に登板する方向だ。

 この日は初めて投内連係に参加した。捕手から「ホーム(本塁へ送球しろ)」という指示が出たにもかかわらず、一塁へ送球する場面があった。韓国語では「ホーム」ではなく、「ホム」と発音するため、本塁送球という意思疎通ができていなかったようだ。早速、言葉の壁にぶつかったが、その後は日本語の発音を確認。練習後、呉昇桓は「指示がわからなかった。自分ももっとコミュニケーションを取りながら、やっていきたい」と振り返った。

 もっとも、練習を重ねれば解消可能な範囲内だ。中西投手コーチも「(指示が)伝わらなかったようだ。技術的には問題ない。言葉のことだけ。全然、大丈夫だ」とコミュニケーションの問題を挙げたが、心配はしていなかった。

 前日7日の初ブルペンでは速く、重い直球と、独特のリズムで踏み出す左足で打者のタイミングを狂わせる“タップダンス投法”を披露。韓国で通算277セーブの実力に、他球団「007」も騒然としていた。

 初ブルペンから連係プレー、そして、打者相手のピッチングへ、着々とステップを上がっている。福留、新井、大和、森田ら仕上がりの良さを示している打者たちと豪腕ストッパーの対戦が今から楽しみだ。【鈴木忠平】