日本ハム中田翔内野手(24)が、思わぬアクシデントに見舞われた。阪神との練習試合(宜野座)が降雨中止となった11日、沖縄・名護の室内練習場でのダッシュ中に右ふくらはぎ付近に張りを覚えた。「やってもうた」と、周囲をヒヤリとさせたが大事には至らず。今後も細心の注意を払う必要はあるが、故障者第1号になりかけた若き主砲が、肝を冷やした。

 トレーニグウエアのフードで顔面全体を覆い、わずかに確認できる表情が一瞬だけゆがんだ。中田の体に異変が起きた。気落ちした声で「いやぁ、やってもうた…」。午前最後の練習メニューだった50メートルダッシュ6本の最中に、アクシデントが襲っていた。すべて走りきると、本田トレーナーの元へ駆けよった。右のふくらはぎ付近を両手で押さえ、張りを訴えていたのだ。

 故障者第1号になりかけた。今キャンプは、1、2軍ともに病気やけがでの離脱者は、まだいない。不動の4番がリタイアとなれば緊急事態だったが、大事には至らなかったもよう。吉部トレーナーも「軽い張りなんじゃないかと思う」と、問題視しなかった。練習を終え、宿舎へ戻る際も自力で歩いた。患部には何も施さず、靴下も下げてむき出しの状態。足を引きずることもなかった。

 ダッシュの前は白井内野守備走塁兼作戦コーチと、1対1の特守を約30分間も行った。下半身に疲労がたまっていた状態で元気よく走りだした瞬間に患部に痛みを覚えたようだ。慣れない三塁守備の特訓を続け、第2クールは肩から首に張りがあった。自分の判断で磁気テープを4個も首の後ろに張るなど気をつけていたが、再び訪れた危機に球場を出る際は「疲れた」と、言葉数も少なかった。

 この日は、予定されていた阪神との練習試合が降雨中止になった。大阪桐蔭の先輩でオフの自主トレをともにした西岡との再会はならなかったが、全体的な練習メニューが軽めだったことは不幸中の幸い。中田にとっても、体調を立て直す絶好のタイミングとなった。キャンプ地を訪れた野球評論家の張本勲氏には「お前が引っぱっていかないといかんと言われた」。4番を張る男は、簡単に離脱はできないことを自覚している。【木下大輔】