お値打ちゴメスは一塁でも起用可能だ。推定年俸1000万円の中日新外国人アレクシス・ゴメス外野手(35=米独立リーグ)が11日、シート打撃で一塁守備に就いた。同僚エクトル・ルナ内野手(34)が右肘の張りで守備を回避。急きょ巡ってきた機会を外野グラブで対応し、無難にこなした。打ってはまたまた左越え本塁打をズドン。マルチな男のレギュラー争い参戦で、中日のシフトは幅が広がりそうだ。

 一塁を守るゴメスの鼻息は荒かった。シート打撃前にルナの守備回避が決定。人数不足で森ヘッドコーチから「やってみろ」と水を向けられると、外野グラブをはめたまま、喜び勇んでポジションに就いた。打球が飛んでくることはなかったが、身のこなしは軽やか。送球を受ける姿も、危なげなかった。

 それもそのはず。ゴメスの本職は外野手だが、一塁の経験はある。ドミニカ共和国のウインター・リーグで同じチームに所属するルナは「2人で一、三塁を守ったこともあるよ」と証言した。

 「一塁ゴメス」はあらゆる可能性を秘めている。辻内野守備走塁コーチは「あいつは(一塁も)やりたくてしょうがないみたい。普通に守ってた。まあ、何かあった場合はね」と、緊急事態のオプションとした。例えばゴメスを一塁に据えて森野を二塁に置けば「攻撃型」のオーダーが出来上がる。ゴメスが外野+一塁を守ることで、けが人が出た場合もすぐに対応可能。選択の幅は大きく広がる。

 目をぎらつかせる助っ人には少なくとも「使いたい」と思わせるだけの打力がある。シート打撃では、武藤の外角直球をレフト芝生席まで軽々と運んだ。2日前のルナとのアベック弾に続き、またもや「LG砲」がさく裂。「感覚がいい。逆方向にあれだけ飛ぶというのはいい証拠だよ」と、2発とも逆方向へのアーチで怪力を証明した。

 「僕としても大歓迎だよ。1つポジションが増えることでチャンスが増える。一塁はアメリカでもドミニカでもメキシコでもやってるよ」。

 早速、一塁ミットを発注した。チャンスを広げるために練習を続けるという。日本で野球がしたいと、年俸1000万円で海を渡ったゴメス。「掘り出し物」かもしれない。【桝井聡】