ロッテのドラフト1位、石川歩投手(25=東京ガス)が13日、実戦デビューを果たした。紅白戦に先発すると最速147キロの速球で、チームメートをなで切り。2回を1安打3三振とデビューを飾った。対戦した打者やスコアラーは直球を絶賛。石川もこだわりを持つという直球の秘密に潜入した。

 石川の指先から放たれたボールは、高めにグイっと伸びた。事前の計測では1秒あたり43回転の直球。37回転が平均的とされる中で、驚異的な回転力だ。この日のベストボールは鈴木への2球目。指にかかった内角直球だった。対戦した鈴木は「立ち遅れてしまった。回転数が多いのか、伸びて来る。さすが巨人と1位で競合した投手だと思った」と証言した。

 こだわりの直球だ。「僕は変化球で満足することはないです」と言い切る。どこまでも直球で押し切るのが理想。リリースの感覚は「ボールを上から抑え込む感じ」と説明する。これは、ホーム寄りにリリースポイントがあるための感覚だろう。球持ちがいいために、強烈なスピンもかかる。

 石川はボールを回転させることにたけている。それは変化球にも表れている。カーブの回転数は1秒につき47回転。これは、都内のある施設でこれまでに測定したプロ、アマ合わせて約400人の投手の中で3番目に多い数値だった。平均値は36回転で、どれだけ強い回転力かが、ここでも分かる。

 強い回転力を生むのに大事なのは何なのか。石川は「とにかく腕を振ろうと思った」と言う。大松への6球目。胸元をえぐった球は147キロを計測した。鋭い腕の振りと、独特のリリース感覚。回転力あふれる速球は、そこから生まれる。川崎投手コーチは「まだまだ2、3キロ速くなる」と、さらなる進化の可能性を示唆した。

 この日の投球内容に石川は「納得いくボールは3球ぐらい」と厳しい自己判定を下した。だが、周囲の評価はグンと高まった。伊東監督は「たいしたことなかったって書いておいてください。隠しておきたい」とまで言った。最高の評価だといえる。【竹内智信】