能見になれる!

 阪神のドラフト1位岩貞祐太投手(22=横浜商大)が13日、上々の「1軍デビュー」を果たした。1軍首脳陣がいる沖縄・宜野座キャンプへの合流初日にブルペン入りし、和田監督らの前で52球。巨人、中日のスコアラーもエース能見になぞる、素材の高さを見せた。遅れてきたルーキーが、開幕ローテ争いに殴り込みをかけた。

 影武者ではなかった。能見の投球が熱を帯びてきたころ、宜野座のブルペン左端にシルエットの似た左腕が初登場した。正捕手藤井が受け、その横に和田監督と黒田ヘッドコーチが立っていた。視界のスタンドにはライバル球団の007がいる。びびってもおかしくない状況で、岩貞のハートは合格点だった。

 「周りのペースに焦ることなく、落ち着いて投げられました。人の多さにはビックリしましたけど。安芸にはいないので。能見さんがいるのは分かっていましたけど、自分が投球する時にキョロキョロしている場合じゃない。見たい気持ちはあるんですけどね」

 指揮官の前で投げるのは初めてだった。「6~7割」の力で、ワインドアップからテンポよく投げ込んだ。スライダーには藤井がうなずき、カーブとカットボールも低めに制球された。「最後の5~6球は力を入れて」と終盤は熱投。直前まで呉昇桓が投げていたマウンドで、ドラ1の名刺も負けていなかった。中日井本スコアラーが指摘した。「右へのクロスファイアと膝元のスライダーの出し入れができるし、落ちる球をうまく使えれば能見の投球ができる」。大学時代からフォームを参考にするなど能見に憧れる。「能見2世」の冠に恥じない素材であることは分かった。巨人森中スコアラーも「ボールの角度といい目の前に教材があるからね」と進化を警戒する。

 「大学の時も(右打者への内角球は)自信を持って投げていたので。この球を信じて、軸にして精度を高めていきたい。半月ぐらいあるので、シーズン通してやれる体づくりと技術を身につけたい」

 1月に発熱で6日間静養し高知・安芸スタートだった。2週間遅れの合流に母と弟も故郷熊本から駆けつけた。和田監督は「非常に投げっぷりもいいし楽しみ。そういう競争に入ってくるんじゃないかな」と開幕ローテ争いに数えた。明日15日の紅白戦に登板予定。3本柱しか見えない和田阪神に期待の新人がようやくやって来た。【近間康隆】

 ◆岩貞祐太(いわさだ・ゆうた)1991年(平3)9月5日、熊本県生まれ。必由館で2年春からエース。甲子園出場はなし。横浜商大で2年春に神奈川大学リーグ優勝で最優秀投手賞。同夏、大学日本代表。182センチ、78キロ。左投げ左打ち。