現役最年長の中日山本昌投手(48)が“葛西投法”で14年に臨む。41歳で銀メダルを獲得したスキージャンプの葛西に大興奮。2軍調整中の左腕は17日も読谷で休日返上練習し、競技を楽しんでメダルを取った葛西のように、メンタル面の発想を大転換して進化する意気込みを明かした。野球界のレジェンドがスキー界のレジェンドに学び、V奪回を導く。

 歓喜の瞬間から2晩明けても、山本昌は大興奮だった。「スゴかったなあ!

 銀もスゴイけど最後の人が少しでも失敗してれば金でしょ?」。ソチ五輪で葛西が悲願の銀メダルを獲得。勇姿はキャンプ宿舎のニュースで目に焼き付けた。41歳で日本の冬季五輪最年長メダリストになった葛西と、48歳の日本プロ野球現役最年長左腕。「下の選手とも年はだいぶ離れているし、スキーの競技年齢は僕と同じぐらいでしょ?」。レジェンド同士ならではの共感が、興奮を倍増させた。

 だが葛西のインタビューで大きな違いに気づかされた。「彼は苦労しながらもスキーを楽しんでメダルを取った。でも僕は悲愴(ひそう)感ばかり。野球を楽しいと感じたことは1度もない」。プロ30年は不調や故障、精神的不安や恐怖との葛藤など苦しみの連続。それらは「少しだけ浸れる、勝った時の快感」だけで乗り越えてきた。だが葛西は苦しみ全部を楽しさに変え栄冠をつかんだ。そのメンタル面の発想転換にシビれた。そして16日付本紙を引き合いに進化を誓った。

 「日刊スポーツに谷繁監督と大魔神(佐々木主浩氏)の対談が載っていたけど、その中で監督が僕のことを『のらりくらり投げてくれればまだまだいける』と言っていた。のらりくらりは心に余裕あって楽しまないとできない。でも楽しめるようになれば僕ももっとやれると思う。そのコツは難しい。でも見習いたい」

 この日は休日返上で読谷球場でトレーニング。2軍でマイペース調整中だが、これでキャンプは不休の17連勤。「僕も燃えてるよ。でももっと頑張らないと」。16日のフリー打撃初登板で好感触をつかみ、今季初実戦の照準を25日の2軍SK戦に定めた。【松井清員】