<オープン戦:オリックス0-3楽天>◇13日◇京セラドーム大阪

 名将の予想を軽々と飛び越えた。楽天のドラフト1位松井裕樹投手(18=桐光学園)がオリックス戦に先発し、5回2安打無失点の快投を見せた。これでオープン戦3試合を投げ12イニング無失点。1、5回に得点圏に走者を置いたものの、落ち着いたマウンドさばきで失点を許さなかった。あまりの快進撃に星野監督も28日のシーズン開幕投手をにおわせた。

 ひょっとすると、ひょっとするのかもしれない。松井裕の新人離れした投球が、星野監督の口を滑らかにした。左腕の開幕投手の可能性を聞かれると「ずっと面白いなぁって言ってたじゃん。今日みたいな投球を続けたら、冗談じゃなくなってくる」とニヤリと笑った。則本と並べ、抜群の安定感を見せるルーキーを開幕投手候補に挙げた。

 指揮官の発言がリップサービスではないと断言できるほどの信頼感だった。5回。わずか4球で2死に追い込んだ。しかしそこから死球を与え、左安、四球で満塁のピンチを招く。並の新人なら動揺し、大量失点に結びつくが松井裕は違った。「今は得点を与えたくないので、100%の中でも気持ちが高まってくるのがある」とギアをトップに入れた。燃える闘争心を隠すように捕手嶋のサインを1つ1つ確認し、首を振る。カウント1ボール2ストライクからの4球目。外角高め143キロの直球で二ゴロに打ち取ると、ようやく大きく息を吐き出し18歳のあどけない笑顔を見せた。

 オープン戦3試合で、12イニング無失点。開幕ローテ入りを確実としたばかりか、星野監督からは「入ってくるわな。それも上の方で。キャンプでは高校生なんて使いたくないって頭があったけど、あいつはジャンプ力がある。ぴょーんと(ハードルを)越える」と絶賛された。これまで4月1日の仙台開幕戦での登板が有力視されていたが、一気に3月28日のシーズン開幕戦も浮上してきた。

 周囲に流されない姿も高評価だ。多くの選手が指導を受けると「はい!」と言うが、松井裕は「どういうことですか?」と具体的に聞く。決して物おじすることなく、コーチなどにも意見する。取り組んでいるフォームの改善でも、制球を意識するあまり躍動感がなくなり、元に戻した。自ら考え、取捨選択する。星野監督も「あいつは質問が多い。最近のヤツは、はいはい言い過ぎる」とマウンド度胸にも通じる姿に目を細めた。

 次回登板は中7日以上空けて、22日か23日の中日戦(ナゴヤドーム)が有力となった。「最後まで0でアピールしていきたい」と0行進の継続を宣言。このままの勢いが続けば、背番号1が楽天の1番手を奪い取るかもしれない。【島根純】

 ◆楽天の開幕投手争い

 久米島キャンプで星野監督が立候補制を明言。1番に則本が宣言し、次いで塩見、辛島らが手を挙げ、この日に美馬も星野監督に直訴したという。それでも開幕投手は則本が最有力。オープン戦でも2戦連続無失点で、順調にいけば2年連続開幕投手は確実だ。オープン戦で好投している塩見と辛島も続くが、実績と安定感から美馬が2番手の候補となっている。