驚弾で実戦デビューに弾みをつけた。阪神の新外国人マウロ・ゴメス内野手(29=ナショナルズ3A)が14日、鳴尾浜でのシート打撃で左中間へライナーのままフェンスを越える驚異の本塁打を放った。和田監督は今日15日の教育リーグ中日戦出場を決めた。順調なら18日ヤクルト戦(練習試合)で1軍合流。これまで2度も実戦デビューが流れた4番候補が、今度こそホンマに救世主になる!?

 弾丸だった。4打席目、ゴメスは果敢に初球から振っていった。左腕小嶋の外寄りツーシーム。左中間を破ると思われたライナーはグングン伸びた。まるでゴルフのドライバーのような弾道でオーバーフェンスし、防球ネットに突き刺さった。15分間グラウンドを独占した「最終テスト」での驚弾に、見守った首脳陣の頬も思わず緩んだ。

 「いよいよいよ」の実戦デビューだ。1軍練習中の甲子園から駆け付けた和田監督は、名古屋の教育リーグ中日2連戦からスタートすると決めた。

 「タイミングがとれて振れているのは分かった。小嶋にも対応していた。残り少ないけど数多く打席に立たせたい。試合で日本のバッテリーの配球を覚えてもらわないと」

 開幕4番へ、タイムリミットは迫る。15日は指名打者で3打席、16日は一塁守備につく予定。順調ならば、18日の練習試合ヤクルト戦(神宮=無観客試合)で1軍デビューする。本塁打の前には、右翼フェンス直撃の二塁打。フリー打撃は38スイングで9発放ち、最後は指揮官に1度だけ、二塁への豪快なスライディングまで見せた。不調だった右足を含めて万全をアピールした。

 家族の健康問題で、来日が2月10日に遅れた。体調不良で同20日の紅白戦、右足の張りで同23日の中日戦を直前回避。やきもきさせたが、「三度目の正直」へやる気満々だった。2打席おかわりしての8打席で「ボールはよく見えた。ゲームをやっていく中でタイミングも合ってくると思う。実際の投手を見て調整していきたい」とスタンバイOK。チームは、オープン戦1勝8敗1分けと最下位に沈む。開幕まで2週間。遅れてきた大砲が救世主になるか。【近間康隆】