<オープン戦:西武1-1阪神>◇16日◇西武ドーム

 阪神の新守護神が、開幕への階段をまた1つ上がった。呉昇桓(オ・スンファン)投手(31=韓国・サムスン)が、西武とのオープン戦で初めての連投だ。2死満塁のピンチを背負いながら、最後は空振り三振で締めた。直球主体の配球で、二、三塁になるとノーワインドアップで投じるなど、冷静なマウンドさばきでサヨナラを許さなかった。連投テストもクリアし、死角は見当たらない。

 ピッチャー呉昇桓が2日連続でコールされた。9回の攻撃で追いついていなければ、上がることのなかったマウンド。シーズンさながらの登場にも、呉昇桓は「状況によっては投げると言われていたので」とサラリ。走者は背負ったが、最後は西武熊代を148キロの直球で空振り三振に斬った。来日後初の連投で無失点。試合を締め、ベンチに戻る道のりでも表情を変えることはない。「石仏」を体現するマウンドさばきに、和田監督も「動じない姿が頼もしい。表情一つ変えずにね」とうなずいた。

 2つの注目点を残し、連投マウンドをクリアした。1つ目は配球面。前日はフォークもまじえての投球だったが、この日はツーシーム3球、カットボール1球の速球系のボールをのぞけば、変化球はスライダー3球だけ。受けた藤井は配球について「ノーコメント」としたが、2日目の直球の球威を確かめる意図があったのかもしれない。2安打されたが、7度の空振りを奪うなど、石直球は健在。中西投手コーチも「ボールの力が落ちたようには感じなかった」と合格点だ。

 もう1つ際立ったのは、冷静さ。2安打と盗塁などで1死二、三塁となると、ノーワインドアップで投球を開始した。中西コーチは「強いボールを投げたかったんじゃないか?

 指示はしていない」と本人の判断だったことを明かした。注意すべきはサヨナラの三塁走者のみ。目で三塁走者をけん制しつつ、重いボールを投げ続けた。「状況に応じてやっていく」(呉昇桓)。苦境での登板が多い守護神にとって、何より重要なのは冷静な状況判断力。連投マウンドで、呉昇桓は勝利へのルートを落ち着いて逆算していた。

 1イニングで35球を要し、許した走者はすべて左打者だったのが、開幕に向けての改善点だろう。本人も「少し直していかないといけない部分は、修正していきたい」と口にした。中西投手コーチも「もうちょっと球数は少なくしないとな」。ただ、2日目の直球の球威を試すことに重点を置いたとすれば、解消に時間はかからないはず。虎の命運を握る守護神は、9回にゼロを刻み続ける。【池本泰尚】